叶いはしない恋だとしても... −今市隆二 vs 登坂広臣−

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−隆二side






少し涼しい夏風の中を歩く。



広臣「信じらんねーよなー...」



突然、彼がそうつぶやいた。






隆二「なにが？」



広臣「三次審査通ったこと！ファイナリストだぜ？夢見てるんじゃねーかって感じだし(笑)」






やっぱり...



こいつも、俺と同じ気持ちか(笑)。



隆二「ほんとだな(笑)」



思わず、笑みがこぼれる。






未だに現実を受け止められていない彼が、



広臣「俺...ずっと片想いしてる子がいてさ」



いきなり、そう語りだした。






広臣「その子の心には、別の男がいて...。わかってても諦められねーんだ。もう好きになっちったから...」



隆二「...なんか...せつねーな(笑)」



広臣「ほんと(笑)」



少し、悲しげな表情でうつむく。






広臣「...だから決めたんだ！でっかい男になって、必ずそいつを越えてみせるって！そのためには、絶対に歌手にならないといけない。ここで負けるわけにはいかねーんだよな！(笑)」



そう言って、不敵な笑みを浮かべた。






...大切な人のために、すべてを懸けてる...。



隆二「...似た者同士だな」



広臣「え？」






隆二「いや、なんでもない(笑)。俺だって負けねーよ！(笑)」



広臣「おう！受けて立つ！(笑)」



隆二「言ったな！？(笑)」



笑い合いながら気づけば駅に着き、俺らは別れた。






...同じひとを想っているとは知らずに、



‘良いライバル’



このときは、そう思っていた...。

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