らいおん君が本気の恋をした話【2】 (ページ31)

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家に帰ってきて

とりあえずシャワー浴びろって

風呂に突っ込んだ。

両親とも言える兄2人に会った。

2人の思いはしんどいくらい伝わったけど

伝わっただけにAのことを大切にしないといけない。

今は他の女興味ないし、遊びたいとかそんな欲もないけど

ただ、今後この思いを継続できる自信がない。

今までの俺を考えたらそう。

いや、ここまで行動に移してること自体

はじめてのことだけど

自分でも未知の領域で自信がない。

ベランダから空を見つめれば

満月にはまだほぼ遠い綺麗な三日月だ。

『じゅりくん』

「うわ。あぶねー。灰おちるよ」

『なんかあった？』

「ん？風邪引くから髪早く乾かせ」

　

タバコを消してベランダを閉めた。

「シャワーいっくるわ」

『いってらっしゃい』

心配そうに俺を見る彼女に

悟られないように笑って誤魔化して

いつもより熱いシャワーを浴びた。

自分を落ち着かせるために。

自分を守るために。

　

部屋に戻ればソファーで携帯を触ってる

　
　

「眠くねぇ？」

『シャワー浴びたら目が覚めた』

「映画でも見る？」

『んーん』

ただじーっと彼女に見つめられる

今考えてること全部見透かされてる気がして

怖いってはじめてそう思った。

『ごめんね』

「なにが？」

『お兄ちゃんたちに会わせちゃって』

「いい兄貴たちじゃん」

『ありがとう』

『職業聞いたりとかさ、』

「心配してんだよ」

『うん』

Aを見るたびに

Aの声を聞くたびに

心臓を片手でぎゅっと締め付けらる感覚

今まで適当に接していた女の子たちにも

たくやさんたちがAを思うように

こうやって大事に思っている人がいる

俺がしてきたことを知ったら悲しむのに

そんなの承知の上だったはずなのに

ただいまそれを深く後悔している。

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