らいおん君が本気の恋をした話【2】 (ページ19)

今日:19 hit、昨日:107 hit、合計:213,067 hit

61 ページ19

・

このbarで知り合った女の子を

お持ち帰りすることは多々あった。

たくやさんは

それに対して止めたこともなければ

何か突っ込まれることもなくて

ただ、黙って見守ってる

そんなイメージ。

なのにあの日は違った。

友達と約束してたけど

仕事がおして今日無理かもって

でももう飲む気分だから

軽く飲んで帰ろって立ち寄った。

バーに入るとたくやさんはバタバタしてて

とりあえずカウンターに座ろうと目を向けると

女の人が座ってた。

まーだいぶ酔ってるみたいで

顔見えない女の人に

何となく声をかけた。

「大丈夫？」

『いけめんだぁ〜』

歳下？タメ？

そんなイメージ

たくや「来てくれたんだ」

「忙しそうですね」

たくや「ひとり？奢るからその子みててくんない？」

「いいっすよ！」

軽い気持ちで引き受けた彼女のお守り

が、

数時間後には

「俺と帰る？」

『んー…』

「俺のこと好き？」

『すき』

　

こんな状態なわけで

今思えばこの時から

機嫌は悪そうだった。

店もだいぶ静かになってきて

やっといつもの定位置に戻ってきた。

たくや「樹、その子あんまりいじめないで」

「え、お持ち帰っちゃダメなの？」

たくや「その子はダメ」

「なんで？」

たくや「他の人紹介してやるから」

「えーこの子がいんだけど」

たくや「もっとたくさんいるだろ」

そんなこんなの論争が続き

　

たくや「お前が女遊びやめるなら考えなくもない」

「いいよ」

たくや「むりだろ」

「マジで神に誓う」

たくや「口だけだろ〜ダ〜メ！」

当の本人はニコニコお酒を飲みながら

俺らをみてるだけだ。

「A俺のとこ帰りたいでしょ？」

『えへへへへ』

「ほら」

たくや「あきらめわりーなー」

俺もほろ酔いで意地になって

目の前で女の子の連絡先全部消した。

結構続いていた奴にもたくやさんの前で終わらせた。

たくや「あーもー降参。その代わり傷一つつけたら
　出禁じゃ済まねーからな」

「へへ。じゃーAちゃん行こう」

てなわけで持ち帰ったわけだけど。

あの時は酔っていて何とも思わなかったけど

今思えばあの防衛っぷりはおかしい。

たくやさんの女だった…とか？？

考えただけでも背筋に嫌なものが走った。

・