らいおんくんが本気の恋をした話 (ページ33)

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「お疲れ」

インターフォンを押すと

当たり前のようにひらくその扉

エレベーターに乗って無機質な機械音と共に上がっていく。

扉を開くと『お疲れ様、早かったね』って

Aが迎えてくれた。
　

「ちゃんと起きてられたね」

『ラジオ聴いてたから』

「マジで？」

『暇だったし』

全くと言っていいほど
俺の仕事に対して聞いてこないから
興味なんてないと思ってた。

「どうだった？」

『どうだったって？』

「感想？」

『楽しかったよ？』

「シャワー貸してー」

『んー』

今日はちゃんと下着と明日の服まで持ってきてる。

この前借りたシャンプーにボディーソープ、化粧水

髪の毛も肌もテゥルンテゥルンになるから

ありがたく拝借。

　

「A〜」

『なにー？』

　

大きな声で呼ぶと大きな声で返事が返ってくる

　

「俺のスウェットどこ？」

『置いてあるでしょー？』

脱衣所の扉を開けるけどAは
リビングから出てこない。

「Aない」

リビングまで聞きに行くとチラッと俺を見て
なんでそのまま出てくるの！って怒られた。

「何今更」

『風紀が乱れるからやめて』

「今日は、みだしちゃう？」

冗談半分で後ろから抱きしめれば

真顔でやめてって言われた。

盛大に嫌がられるよりなんかショックだった

「ごめん」

『はい』

スッとスウェットを渡されて
スタスタリビングに戻っていく

そんな怒る？

ソファーに体育座りながら
テレビを見る彼女の前には2本の
ペットボトル。

「飲んでいい？」
『どうぞ』

彼女の隣に座って水を飲む
彼女はチラリとこっちを見ない。

「Aちゃん」
『ちゃんなんていつも呼ばないくせに』
「なんで怒ってんの？」
『怒ってないよ』
「言わないとわからん」
『別になんもない！』

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