らいおんくんが本気の恋をした話 (ページ22)

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フワッと頭を撫でられる感覚に

眠りにつきそうだった意識を引き上げられた。

フワッと優しく撫でる彼女の手が

離れようとした時ガシッと腕を掴んだ。

なんでかわからないけど無意識。

『…ごめん』

「べつに」

『ご飯できたけど』

「食う」

『寝起きで食べれる？』

「んー」

寝てないとは言わずに

体を起こしてダイニングの椅子に腰掛ける

「テレビつけていい？」

『どうぞ』

今日メンバー出るって言ってたから

観れる時はなるべく観るようにしている。

ぼーっとテレビを見ていると

次から次に運ばれてくるご飯たち。

「俺そんな量食べたない…」

『別に全部食べろって言ってないよ、作り過ぎるの癖だから』

「へぇー」

にしても多いわ。

目の前に並べられた

鍋から、少しずつ取り皿に装ってくれて

バイキング？ってちょっと笑いながら

箸をつける。

「うまー」

『それはありがとう』

黙って飯を食って

流れているのテレビをぼーっと見つめて

熟年夫婦かよ。

相変わらず彼女の目は充血してる。

「明日は？」

『休み』

「へぇー」

ご飯を食べ終わって片付けをしようと

立ち上がると、置いててって言われて

ソファーに戻る

残ったものをタッパーに詰めながら

洗い物をしてる彼女をボーって眺める。

『なに？』

「なんも？」

『なにそれ』

会うと全然喋らない彼女

電話では普通にしてたのに。

『ねー』

「んー」

『飲んでいい？』

「どーぞー」

『飲む？』

「俺はいいや」

飯食った後から晩酌かよ

って思いながら

ローテーブルにおつまみを広げて

ロング缶を飲む彼女。

正直。可愛げはゼロだ。

俺に好かれようなんて到底思ってない彼女に

少しだけ腹が立つ。

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