お前らに愛なんてある訳ねぇだろ さん 【ブルーロック】

142 夢を捨てざるを得なかった少女たちへ ページ49

長く短い期間だった





「君は、皇后だよ。」
久遠さんがある時言ってくれた。初めて自分の昔の話をした人だ
『久遠さん』


私は、お姫様(プリンセス)でいたかったよ。夢みる少女時代は終わったの
でもそれに後悔なんてない。それが悪いって訳じゃないから



ねぇ、もっと私が普通の所で産まれてたら褒められたかな？
すごいって、頑張ってって








私は、愛が欲しかったんだ



人を愛す以前に私が愛されたかった。馬鹿な女だな
でもここで私を愛してくれる人は沢山いた。愛をちゃんと知った、思い出した
だからこそアイツらへの決別が出来た



でも最後なら、見て欲しい。皇后で、女帝でもある私の最後の舞台
吉良という最高の相棒がいるこの場を、目に焼き付けて耳で覚えて脳に食い込ませて欲しい






「吉良！ボールを！！」
「分かってるよ笑


女王様」






楽しいよ吉良、みんな。こんなに楽しいサッカーは何年ぶりだろうか
もう悔いなんて残らないよ。きっとプロになってもこんな気持ちにはならない




みんな、私を見て！





サッカーボールは潔の手に渡った。少し角度を間違えたな
「お前……」
サッカーボールを持っている潔は汗をかいてて疲れてそうだった
「こんにちは、偽の王様(キング)」






「私を下に見てた時はさぞ楽しかったでしょうね」



怒った表情から一変、急に表情を変えた






「お前、おかしいぞ……？」
そう思うのも無理は無い、こんなまともな試合は数年ぶりだから
あの時の感覚と記憶が甦(よみがえ)る、あの時は本気で楽しんでた
そしてこれからずっとサッカーを楽しめるはずだったのに
だけど考え込むのは今じゃない。今はこの瞬間を楽しむんだ





「アンタ達は私の未来を壊した。だからアンタ達の未来も壊す」





じわじわと追い込む復讐を、絶望するその顔を

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