叶った約束 ページ12
今日は直人の命日｡
「ねぇ、一郎くん｡直人くんの墓参り行かない?」
「なんで、いきなり言うんだよ。」
「だってあの日いらい、会ってないんだろ？」
そうだよ、会ってない。会ったら直人の家族が悲しむだろ？
「もう、会いに行こうよ。三郎と四郎と五郎も一緒に｡」
「でも、俺なんかが行っても…｡」
「逃げるのか？！そうやって過去から！なんにも変わらないんだよ！直人くんと約束してたんだろ！だったら今の一郎くんを見せにいけよ！！」
確かに逃げてたのかもしれない。直人を奪って自分だけが生きてるのが悔しかったんだ｡
「行くよ、直人に会いに行く。」
そう言うと二郎はニコニコしてこう言った。
「一郎くんには黙ってたんだけど､三郎達に直人くんのこと話したんだ｡」
三郎達に？直人のことを話したのいつ？
「三郎達ね、泣いてたよ。直人くんが助からなかった事｡一郎くんが一人で背負い込んで墓参りにも行かないこと。」
「…っ」
知ってて今まで何も言わずに俺の側にいてくれたの？
「よし！三郎達呼んでくるね！一郎くん泣きやんでおいてよ！」
「うん…！。」
二郎ありがとうな。三郎達に話してくれて､じゃなきゃ墓参りにも行く決心なんてないよ。
「それじゃ行くか。」
「うん！一郎くん鍵かけて！」
「ねぇ!直人くんてどんな人だったの？」
「バカッ！行ってから聞けよ！一郎兄がどれだけ抱え込んでたかわかってんだろ？」
「これだからバカは…。五郎くんを見習いなさいよ｡」
「そんなに言わなくたって。ごめんね一郎兄。」
「別にいいよ、気にしてないから。直人は真っ直ぐで優しくて良い奴だったんだ。」
「そっか。」
「じゃあ、行こうか。」
「うん！」
直人、今から家族連れて会いに行くから。もう、逃げねーよ直人からも自分からも｡
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作者名：mayo | 作成日時：2015年4月24日 10時
