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体を揺らす、電車の窓の隙間から、懐かしい匂いがする。潮の香りに添えられた夕焼けに、いろんな、思い出が蘇ってくる。
「……やっぱり、帰ろうかな、」
なんだか今になって、ソクミンを前にして、なにを話していいのか分からなくなってきた。停学が明けてから、ごめんね、とありがとう、を伝えれたらいいんじゃないか。……クラスメイト、として。
そんな思いと裏腹に、幼い私にとっての王子様だった彼、ソクミンとの思い出を拾い集めながら足を動かすと、彼の、そして、元、私の住んでいたマンションに到着してしまった。
「ソラちゃんはやく！」
内気で、陰気な私を、明るい世界に連れ出してくれていたのは、ずっとソクミンだったなぁ、と思う。
もしも、あの時私が逃げていなければ、今もこのマンションで、2人歩幅を合わせて、彼の優しさに触れられてたのだろうか、なんて、机上の空論。
勇気を出して鳴らした彼の部屋番号からは、知っている、懐かしい声がして。
「……あ、あの、ソラです、昔、隣に住んでいた、」
「あら！ほんとに？待ってね、開けるから、上がっておいで！」
そういえば、お母さんと、ソクミンのお母さんは今でもたまに会う、と言っていたなぁと考える。仲のいいママ友と引き離した私、そんなふうに捉えると、また、罪悪感が募った。
「、お久しぶりです、」
5年ぶりだ、というのに、相変わらず穏やかな笑顔で迎えてくれた彼のお母さんに、丁寧に、ことの経緯を話す。おばちゃん、と昔のように呟くと、すごく、すごく嬉しそうにしてくれた。
「ソクミナ！懐かしいお友達がきてるよ〜」
おばちゃんの言葉に、懐かしいって、もしかして、と言って部屋から飛び出てきたソクミン。ばちっ、と目がった瞬間、ソラちゃん、と口からこぼした彼の声が聞こえた。
「………ソクミン、」
「やだ、こんなリビングで話さないで、部屋で話しなさいよ〜お母さん気まずいじゃない！」
ありがとうございます、とお母さんに告げると、少し前を歩くソクミンが、急に立ち止まる。
「‥‥待って！今筋トレしてたから、ちょっと、いや結構汚いから、片付ける！30秒、いや10秒待って！」
ゆっくりでいいよ、という私の返事も聞かずに部屋に入っていったソクミンに、少し笑みが溢れる。もう、とお母さんが口を曲げると、昔の楽しい雰囲気が戻ったような気がした。
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グラ(プロフ) - むさん» むさんコメントありがとうございます〜！文才のない中で頑張ってます……お言葉とっても嬉しいです❤︎ドギョムのお話、まだ続きますのでよかったらまた覗いてあげてください❤︎ (2023年2月15日 15時) (
レス) id: 10714f47f3 (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 主様の文章、とっても素敵で更新されるたびすぐに読んでしまいます！お忙しいとは思いますが、更新これからも楽しみにしてます💗(석ペンなので今のお話とっても展開楽しみです！) (2023年2月9日 1時) (レス) @page42 id: cb9ba72967 (このIDを非表示/違反報告)
優花(プロフ) - グラさん» おおそうなんですか！楽しみです💞💞他の話も全部面白いですし本当に楽しみにしてます！ (2023年2月4日 10時) (レス) id: 622f8d2ae2 (このIDを非表示/違反報告)
グラ(プロフ) - 優花さん» コメントありがとうございます〜〜！！初めてもらったコメント……すごく嬉しいです……🌙ジュンくんのお話、個人的にも気に入っているので、中編集が終わり次第番外編書こうと思ってます！またその時は可愛がってあげてください❤︎ (2023年2月3日 23時) (レス) id: b1b8e6b90b (このIDを非表示/違反報告)
優花(プロフ) - ちょっとしたリクエストのようなものなので軽く流していただいて構いません。次の更新も楽しみにしています！ (2023年2月2日 0時) (レス) id: 622f8d2ae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：グラ | 作成日時：2023年1月28日 12時
