風味絶佳 (ページ47)

今日:19 hit、昨日:21 hit、合計:130,482 hit

09 ページ47

「……あ、そうだ。あのさ、私前にどこかで社長に会ったことがあるらしいんだけど、知らない、よね？」

どの人？と聞くミンギュに会社のホームページを見せると、ソラちゃんは覚えてないの？とソクミンに聞かれる。

「うん、顔はなんだか見たことあるような気がするんだけど、名前、に聞き覚えもないし。」

「チェ・スンチョルさんか……俺も聞いたことないから、大学よりもっと前なんじゃない？」

確かに2人とは大学一年生からの知り合いだから、それ以前のことは聞いても無駄だろう。

ぽかん、とした顔をして2人して知らないというもんだから、さっぱり分からない、と振り出しに戻る。

「あ、でもこの人ソラと出身が一緒だ！」

ミンギュが指差す、ホームページの経歴欄には私の知っている高校の名前が。

「そこの高校は確かに近いけど……私そこの卒業生じゃないし、話したことあったら覚えてるはずだしなぁ。」

「社長に直接聞いてみたらいいじゃん。俺知らないけど、そんな怖い人じゃないんでしょ？」

俺だったら余裕、なんて私を笑うミンギュに、ソクミンが余った焼肉を押し付ける。

「怖くはないけど、なんだか失礼に当たるような気がして……そもそも外務があるから毎日のように会うわけじゃないし、話す機会もないよ。」

「そっか〜、確かに聞きづらいか。」

「うん、あ、でもさ、来週から外務についていくことになったんだよね……もう緊張するし本当に不安。」

「逆に今まで行ってなかったの？」

「うん、先輩が行ってたから。はぁ〜、うまくいく気がしない。」

「ソラちゃんなら大丈夫だよ！なんやかんや、今までも頑張ってきてるんだしさ、」

鼻に皺を寄せて、私にガッツポーズをするソクミンに、憂鬱だー、と嘆く。

風船でも膨らますのか、と言ったほどのため息をつくと、来週からなら、まだ心の準備する時間あるじゃん！とミンギュが笑う。