風味絶佳 (ページ46)

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それから、と言うもの、あれこれと覚えるうちに、すっかり新入社員、なんて肩書きは消えて、入社半年が経った。
朝と帰りはソクミンと一緒、が当たり前になり、たまにミンギュを呼んで3人でご飯を食べたり、相変わらず、と言った言葉が似合う毎日を過ごす。

「実際さ、社長ってどんな感じなの？」

キムチを唇の横にちょん、とつけながらソクミンが聞く。確かに、うちの社長は女性だしな〜、と言ったミンギュに、服にソースこぼしてるよ、と言う。

慌てふためくミンギュを他所に、ソクミンに渡してあげるのは、もちろんお絞り。自分の唇をとんとん、としながら。

「どうって……普通に、いい人だよ。」

「本当に！？俺配属の日の睨み顔が忘れられないんだけど……あ、でも、たまに営業部の方来るけどさ、真面目な顔がすげぇかっこいいよな〜男前！てかんじ。」

俺より？なんて馬鹿馬鹿しいことをいうのは、勿論ミンギュ。

「普段は知らないけどさ、仕事上はそんなに厳しい人じゃないよ。」

「なんかさ、いや、ずっと言おうか迷ってたんだけど。社長、ソラちゃんとの距離近くない？って思う時結構あるんだよね〜……」

言いづらそうに顔を顰めるソクミンに、そうかな、と尋ねる。

「だって、たまにソラちゃんの頭ぽんぽんしたりしてるし、」

「えー！ソラ、頭撫でられたりしてんの！それ立派なセクハラじゃん！大丈夫？」

そうか、一般的にはセクハラになってしまうのか。頭の中で思い浮かべた気持ち悪いおじさんに代入して考えると、確かに、すごく嫌だな。ぼんやり、何も言わない私にミンギュが心配そうに言う。

「ソラ、嫌なことは嫌だって言わなきゃダメだよ。」

「………うん。でも、嫌、じゃないんだよね、なんでなんだろう。」

「…………男前だから？」

確かに社長の顔はすごく綺麗だと思うけれど、何だかそれだけ、と言われればそう言うわけでもないんだよなぁ。まあソラが嫌じゃないなら別にいいけど、と、ゴシゴシ、服を拭き出したミンギュ。