風味絶佳 (ページ18)

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冬休み前最後のテストを終えると、ダッシュで帰る準備をして、ジヨンの呼びかける声にごめん！とだけ伝えて隣のクラスへ急ぐ。

ちょうど終礼を終えて出てきた同級生に揉まれながら、一際輝く金髪を探す。

「ソラちゃん？どうした？」

頭上にあるウォヌくんの顔に驚いて、あ、その、スニョンくんって、と伝える。

スニョン？スニョンならもう出てくると思うけど、と教えてくれたウォヌくんへのありがとうの言葉を遮るように、瞳いっぱいの満月が飛び込んでくる。

「ソラちゃん！ウォヌと帰るの？2人で？」

なぜか焦ったような口調のスニョンくんに、違うよ、スニョンくんを探してた、と伝える。続けて、もしよかったら少しだけついてきて欲しい、と。

「いいけど……どしたの？なんかあった？」

はてなマークが止まらないスニョンくんを連れて、いつもの花壇に向かう。

「見て、咲いたの、！」

あの日と変わらず、悠々と咲くガーベラの横に、小さく咲いたかすみ草。

感謝、幸福、無邪気、どれもスニョンくんに当てはまる花言葉だ、と思って植えた苗は、期待通りに咲いてくれた。

綺麗、そう呟いたスニョンくんは、私の腕をとってベンチに腰掛ける。とんとん、と叩いた横に座ると、ガーベラが一人ぼっちじゃなくなったら、言おうと思ってたんだ、と脈略もなく話し始めた。

　

「ソラちゃん、この花の花言葉知ってる？」

何の花を差しているのか分からず、どの花のこと？と聞こうとすると、前のめりになったスニョンくんに遮られる。

「違う！残念！不正解！！！ほら、俺に正解聞いて？いいから、」

今度は私のはてなマークが止まらないまま、言われた通りスニョンくんに正解を聞く。

「花言葉、どんな意味なの？」

「この花の花言葉は、ソラちゃんのこと、すげー好きだから付き合ってほしい、なんだけど、」

「………どうかな」

赤くなったスニョンくんの頬と耳を見ながら、きっと彼とおんなじような表情で呟く。

「とっても素敵だと思う、私もスニョンくんのこと、その、……好きだから。」

あ、そう、この表情。
わたしが隣で咲いてて欲しいと言うのは、その満開の笑顔のことだよ、スニョンくん。