風味絶佳 (ページ14)

今日:4 hit、昨日:12 hit、合計:130,512 hit

13 ページ14

体育館の屋根下でタオルを探しながら、手伝ってくれてありがとう、とスニョンくんに伝える。
これで少しでも明日、お花がぐちゃぐちゃになってなかったらいいんだけど、と続ける。

「無事でいてくれよー！」

お花たちに叫ぶスニョンくんを横目に、すっかり濡れてしまった大きいブレザーの水滴を払う。

「これ、ありがとう。ごめん、すごく濡れちゃったんだけど、」

「全然！てか家まで着てて欲しい、んだけど、」

ブレザーを脱いだ私に顔を赤くするスニョンくんを見て、まさか、と思う。帰りのためにセーターを脱いでいたことを思い出して、見苦しいものをごめんね、と苦笑いする。
どうせならもっと可愛い下着にしたら良かった、なんて呑気に考えていると、

「ソラちゃん、意外と無防備だから、なんか、心配になる、」

目を逸らして呆れた顔で笑うスニョンくん。
上がっていく心拍数を感じながら、そうかな、そんなことないよ、と告げる。

「もうちょっと自分が可愛いってこと、自覚してほしい。今だって。雨に濡れてるのすげー色っぽくて綺麗、だし、」

いつだって優しくて温厚さを帯びた瞳が、一瞬、切長の獲物を狙う瞳に変身する。

太陽の元でキラキラ、と笑うスニョンくんとは一変した、憂いと熱を帯びた、月のような雰囲気。

言葉に詰まる私を見て、俺何言ってんだろ、とスニョンくんの空笑いが響く。