始まりのトイフェル

「４０」 ページ41

主「ねぇねぇ知ってる？私の正体」

突如投げかけた質問にチェスは
呆気にとられた顔をする
質問の意図か分からないんだろう

チ「えっとぉ、第一位始祖様ですぅ？」

主「あはは、間違いじゃないよね〜」

吸血鬼しか残っていない市役所で
乾いた笑い声が響く
チェスの返答は正しいものであるが
【間違いでもある】のだ

主「そろそろ人間と戦うの飽きちゃってね
本格的に皆殺しにしちゃおっかなって
あは〜、でも餌が無くなるか〜」

最近の人間は本当に鬱陶しい
視界に入れるだけで見苦しくなる
吐き気がするよ、下等生物のくせに
足掻いて足掻いて生き延びてさ
数ばかり増えて、蟻みたい
気持ち悪いよ、すぐに死ぬくせにさ

主「さっき逃がしたのは単なる気まぐれ
今度会ったら全員喰い殺すよ〜ん♩」

ク「A様は僕らより長く生きてるけど
人間を殺すことが唯一の楽しみ？」

随分と答えにくい質問だ
人間を殺すことが楽しみなのは確か
でも、全滅させると餌が無くなる
少しでも残しておかないといけない
勝手に繁殖してくれるからさ

私が心から楽しみと思うこと
それは、人間を殺すことではない

主「人間を絶望の淵に叩き落とすこと
希望を失った時に見せるあの表情を
見た時のゾクゾク感がたまらない」

絶望に歪む表情はとても美しい
瞳から光が消える瞬間は特にいい
闇を味合わせながら殺すこと
あれほど生きていて愉快なことはない
長く生きて来た中で見つけた娯楽
確か、フェリドもこの遊びが好きだと
言っていた気がするよ

ク「はは、エグい事言うなぁ」

主「君らは私と比べてとても若いけど
ただ過ごすだけじゃつまらな……」

ガシャァァン！！

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