始まりのトイフェル

「３３」 ページ34

バラバラバラ

名古屋へ移動するヘリの中
多くの一般吸血鬼と共に時を待つ
決戦命令を下されてから一ヶ月が経ち
皆、様々な趣きのままの戦いとなる

ラ「A様はどーするんですか？」

主「そうだね……、目的は一つだけだけど
余興として少し暴れようか」

余興とは準備運動のことだ
少しばかり殺して、身をほぐそう

人間とは浅はかで脆く、弱いもの
変わることのない事実を突きつけられ
ながら、弱者は生を求める

吸血鬼とは奥深く丈夫て、強いもの
縫い付けられた真実を受け入れながら
今日者は力と自由を求める

掛け離れた存在同士が戦うこと
結果がどうなるかなど目に見えている
それなのにどうだ、人間は抗う
生きるために、脆い命を聞きに晒して
まで生きるための自由を得ようとする

主「一つ聞く、君達は人間をどう思う？」

唐突に投げられた質問に
ラクスとレーネは顔を見合わせた
近くに座り込んでいるミカエラの瞳は
一瞬揺らぎを見せた

ラ「人間は俺たちの食料ですねー」

吸血鬼らしい返答が来た
ラクスの言う通り、人間は食料
我々に快楽を与えることのできる
唯一の血が流れている
だから生かす、娯楽のために

レ「愚かではありますが…、侮れません…」

主「君は少し我々と違うようだ…、人間を
侮り難い存在として視野に入れるか…」

独特の概念を持つレーネ
人間を侮らない思考は何なのか
人間を見下すことしかしなかった
私にとって、過去最大の難題であった
考えても答えなどでるはずはない

主「まぁいい…、…ミカエラは？」

ミ「家族を利用する人間を許さない」

キッパリと言い切った
元人間でありながら、人間を憎む
吸血鬼にも人間にも成りきれていない
確かフェリドも言っていた

主「そうか……、実に斬新だ」

瞳を瞼の奥に隠しながら言う
目を閉じるだけで、不快な光景が浮かぶ
赤い赤い浅い海に立っている
実に不快で、癪に障るものであった

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