織田作の弟は元水柱だそうです

弍拾漆 ページ31

「兄さん！！」


扉が壊れそうな勢いで扉を開く


ミシッ、と扉からしてはいけない音が聞こえた気がしたが気にしない


「そんなに慌ててどうしたんだ？」

倒れたと言う当の本人は既に目覚めており、白いベッドから上半身を起こしていた



「………太宰さんから兄さんが倒れたと聞いた」

そうなのかと織田作は視線で太宰に尋ねる


「まぁそうだね。安心していいよ、義勇。織田作はこの通りピンピンしているしね」




その言葉を聞いてホッと息をついた


気づかないうちにずっと肩の力を入れていたらしい









また大切な人を失うところだった(・・・・・・・・・・・・・・・)





そう思った直後ふと疑問に思う




また？



確かに沢山の死はこの目で沢山見てきたが義勇にとって大切な人は死んでいない


それに、大切だと思える人は片手で数えられるくらいしかいない







あぁ、また(・・)か。





しばらくはなかったんだけどな









少しの頭痛とともに狐の面と赤いリボンが脳内にチラついた









この先アニメ派の人ネタバレ？注意！

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夢を見るんだ


それは幸せな夢だったり、酷く恐ろしい夢だったり様々だが、共通点があった


夢に出てくる人物はある程度一定なのだ


特に多く出てきたのは"狐の面を付けた少年と長い髪を赤いリボンで結った女性"



夢の詳しい会話の内容は覚えていない


ただ覚えているのは幸せな日常を過ごしたこと





…………その後二人は殺されてしまうこと




何故だかわからないが、二人は自分のせいで死んだ気がする



夢の内容ははっきり覚えていないのにそれだけはわかるんだ



目覚めた朝、頭の奥で"未熟者"とまるで己を責め立てるような声が聞こえてくるから


夢だけではない



雪景色を見ると、蝶を見ると、風を感じると、蛇を見ると、炎を見ると、宝石を見ると、鎖を見ると、桜を見ると、霞みがかった空を見ると………



なんの共通点もないような物を見ると頭痛がする



昔は意味が分からなくて、酷く不安で


何も言わずにただ泣いて、兄さんに抱きついていたっけ


その度に何も聞かずにぎこちない手で撫でてくれた


だが、季節を過ぎるごとに夢はあまり見なくなり、頭痛もなくなった



だから忘れていた






それはけっして忘れてはいきない。己に刻み込まなければならない物だと知らぬまま




全てを思い出すまで、あと……？

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