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拾陸 ページ20

織田作之助side


何も言えなかった

逆に何か言えることがあっただろうか?

襲撃者の銃口に近づく太宰の笑みとは裏腹に、別のものが見えてしまった。



自分には、泣き出す寸前の子供のような表情に見えた



本当は何か言葉をかけるべきなのであろう。


だが、生憎自分は饒舌ではない


それに、ただ薄っぺらな言葉を並べるのもどうかと思った。



そんな中、予想外な言葉を太宰にかけた者がいた



それは、自分の弟である義勇だ。



義勇は太宰の傍に歩み寄ると一言こう言った。






「その傷は平気か?」




見当違いな言葉に太宰はキョトンとした。



同じく義勇もキョトンとする。



そして、何か間違ったことでも言っただろうかと言わんばかりにさらに首を傾げる。


太宰はその真意を見定めようと義勇の瞳をマジマジ見る。


義勇はただ不思議そうに頭に疑問符を浮かべるだけだった




(そうだ、義勇はそういう奴だったなぁ……)


胸の奥がじんわりと暖かくなった。


裏の世界に常に足をつけていたせいで忘れそうになるが、元々義勇はどこか抜けているいわゆる天然ドジっ子というものだった。


時にそれはとんでもない誤解を生むことも多々あるが、それだけではない。


特に今の状況はそうだ。



義勇は太宰の表情に勘づいた上で、気を使おうとしているわけでなく、純粋に弾丸が掠った傷を心配しているのだ。



それは、他の者には中々できるものではないだろう



人の心情をあらゆる情報からピタリとあててしまう太宰だ。


私が考えていることとおそらく同様に察したのだろう。




太宰の瞳が一瞬揺らめくのが見えた。



そして、作り笑顔ではない本当の微笑みを浮かべてこう返した。



「これくらいどうってことないさ」







義勇のこういうところは時に思わぬ救いとなることがある。









________________かつての私もそうであったように

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設定タグ:鬼滅の刃×文スト , 冨岡義勇 , クロスオーバー   
作品ジャンル:アニメ
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金杉(ΦωΦ)(プロフ) - 受験ですか…やっぱり、受験勉強って大変なんですよね 今年から、受験生に私もなるので頑張りたいと思います。お互い頑張りましょう! あと、此れからも頑張ってください!応援しています。 (3月29日 1時) (レス) @page35 id: d1526a6d44 (このIDを非表示/違反報告)
モナム - とても面白かったです。別の作品も見てみます! (6月3日 14時) (レス) @page35 id: 65812ff541 (このIDを非表示/違反報告)
蝶々 - 涼風梓さん» コメントありがとうございます!そういっていただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2021年2月16日 13時) (レス) id: 7990e19425 (このIDを非表示/違反報告)
涼風梓(プロフ) - 面白いです!!これからも更新頑張ってください、応援してます!!! (2021年2月14日 3時) (レス) id: c823698082 (このIDを非表示/違反報告)
蝶々 - Lilyさん» コメントありがとうございます!そう思っていただけて嬉しいです(〃ω〃)テレ更新頑張ります! (2021年1月26日 7時) (レス) id: 3ee152304e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蝶々 | 作成日時:2021年1月2日 14時

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