やすだ短編

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彼の束縛は俺にとって居心地が良かった。
でも彼は束縛するくせに好きとは滅多にいってくれなかった。





ああこんな事もあったっけ。
新人の女性スタッフが入ってきた。
愛嬌があって、美人というよりは可愛い系統の子

何ヶ月か仕事を一緒にして気づいた。
多分彼女は同じ目で俺の大好きな彼を見ている。
だって、彼を見る目が、彼を呼ぶ時の計算づくの行動が全て俺がしてきたような事だったから。
彼が疲れてそうな時にはそっとしとく。
時々面白いことを言って和ませる。

彼も彼でまんざらでもないような顔をしてる事に何回もハラハラした。彼が心を開いた時に見せる笑顔。あだ名。俺にはない、女という性別。




彼とその子が喋る度、ハラハラ。一人で焦った。
また、喋ってる。見る。まだ喋ってる。
やっと離れてくれた。あ、あの子一人で片付けしてる。えらいけど、渋やん見てるし。あ、見てない。
また、喋ってる。




自分が面倒臭い性格すぎて、気持ち悪くて、
その時はさすがに彼とは距離を少し置いたけど。

髪型を変えて、少し明るい金髪にした時、大倉が意外にもこの髪型を気に入ってくれた。

その髪ええやん。そう言って頭を撫でてくれる大倉を、申し訳ないと思いながらも彼だと想像して目を瞑ってしまっていたこと。



家行く。とだけメールが来た。１ヶ月ぶりくらい。
いちいち別れ話かも、と身構えてしまう自分が嫌いだけどいつ切られるかも分からない未来を考えずに呑気で入れるほどお花畑ではないから。



でも家へ来た彼は少なくとも期限は良かったし、
隣きて〜やぁと、甘える彼はいつもより可愛かった。


そっと頭を撫でられるとやっぱりドキドキするし嬉しいし好きだなぁなんて思う。そっと彼の手が俺の頭を彼の肩に乗せる。

渋やんの肩、独り占めしてるんだからね。

不安と優越感。いつも背中合わせで。


渋やんが携帯を打つのをぼーっと見てると、
また一気に胸が痛くなった。例のスタッフ。

なんで、連絡先交換してるの。
でも、こっそり内容見ると、ご飯誘われて断ってる
でもやっぱり連絡先交換してるのは気に食わない。
今、お前が見てるメールを打ってる彼の肩には俺の頭があるんだよー渋やんの方から寄りかからせてくれたんやからね、なんて頭でマウント取っても不安はきえなくて。



やっぱり耐えれなくて渋やんの手から携帯を奪った。

「俺と一緒におる時くらい、見てぇや」

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