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『狐』のバリアで腹を刺された敦は、空気に溶けるように消えていった。
役目を終えた『狐』もバリアと共に消える。
自身を捕らえていたバリアの箱が消え、ようやく解放された五条。
術式で宙に浮き、急いで辺りを見渡すが。
五「敦も呪霊もいない、、、?」
それもそのはず、呪霊の『狐』は消え去ったし、敦も既にこの世界にはいない。
『短い間ですがありがとうございました。
伏黒くんたちにも、ありがとうって伝えてください。』
敦の言葉を反芻する五条。
潔く、簡潔で、死ぬ間際の人間の台詞とは考え難い。
そもそも敦は笑って言ったのだ。
それに、『狐』も「お前の為に殺してやった」という主旨の言葉をのたまっていた気がする。
それはつまり、敦は『狐』に殺されることを望み、『狐』もまた敦を殺すことを望んだのだということ。
五「ふうん、なるほどね。
僕の出る幕はなかった、て感じかな」
そう思えば、目の前の少年1人を見殺しにした罪悪感が薄れていく気がした。
五「恵たちにも感謝を伝えてくれ、か。
うーん、みんなどんな顔するかなぁ」
目の前で敦が消えたという事実に驚き、疑い、悲嘆する。
そこまでの未来は目に見えている。
もしかしたら行き場のない想いを五条にぶつけるかもしれない。
なんでお前が一緒にいたのにそんなことになったんだ、と。
でもそれでいい。
五「あーあ、敦にはもう少し高専にいてほしかったんだけど」
仕方ないかあ、と呟き、スマホを取り出す。
「あ、伊地知?迎えに来てよ。
え?もう終わったのかって?
違う違う、なんか目の前で消えちゃってさあ。
いやほんっとよく分かんないんだけど。
、、、そりゃ僕にだって分かんないことの一つや二つあるよ!
はあ?帰ったらお前マジビンタな?」
電話越しに理不尽なことを言いつつ、その表情はどこか寂しげだった。
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水街 - これにて終演、また来世!楽しみに待ってくださっている方がもしいたのなら、最後まで書けなくて申し訳ございません。多忙ゆえ体力が限界です。 (1月20日 21時) (レス) id: 2750b03dd8 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 続けていただけて嬉しいです...!無理はせず、自分をお大事にしてくださいね。更新、楽しみにしております。 (7月20日 21時) (レス) @page16 id: fa8f980323 (このIDを非表示/違反報告)
葉桜 桜 - 面白いです!早く続きが見たいです!楽しみに待ってます! (2023年3月27日 14時) (レス) @page15 id: 61dac77b6e (このIDを非表示/違反報告)
千月(プロフ) - 面白すぎるんだが?続き待ってます! (2022年4月23日 10時) (レス) @page14 id: c920434a9e (このIDを非表示/違反報告)
水街(プロフ) - 夢女子S氏さん» えっっっっっありがとうございます!!!!!!推し一緒てことは趣味が似てるんですかね、、嬉しいですありがとうございます頑張ります!!!!泣 (2021年8月9日 20時) (レス) id: 17a12418a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水街 | 作成日時:2021年4月17日 22時