９＜クズ２匹＞ ページ10
〜とある謎の少女が語る〜
5月9日-17:34-
くそ、くそ、くそ。
名前を知ってたってのなら、
生徒手帳も見られたってことです。
ならば必然的に、写真だって…。
よりにもよって本人の家族？兄貴？ふざけるんじゃない。
松野おそ松は、私が持ってきたお見舞いを食べています。
「あ、んまいねコレ。」
「ほんとにリンゴ切らないでそのまま食べる人っているんですね...。せめて洗いません？」
おもわず突っ込んでしまいましたが、
この状況をどうするか考えなくては。
おそ松は此方を伺うように見た後、
いきなり話しかけてきました。
「お前さ、カラ松のストーカーなの？」
「ッ！？！？」
いきなり刀で腹をかっさばかれた気分でしたよ。
「...は？」
「いや生徒手帳の写真キモかったから。」
「オブラートって知ってます？」
ハッキリ言いすぎだこの野郎。
「てかカラ松girlが実在していたことにはガチで驚いた。うん。」
「......。」
何なんですかこいつは...わけがわからない。
「お前はカラ松と知り合いなの？」
「いいえ。」
「じゃあなんであいつのストーカーなの。」
「貴方に言う義理はありません。」
キッパリと切り落としました。
「でも」
目を合わせて話しかけました。
「カラ松さんは私の恩人です。」
オソマツは吃驚したように大きく目を見開いてから、此方を見ました。
髪飾りにそっと手を当てる。
そう、彼は私の恩人です。
それなのに、私には度胸もなくて、
『ありがとう』を言おうとしたら、
どんどん拗れてこんなになってしまった。
拗れてく内にますます駄目になった。
たったの一言だと言うのに。
しばしの沈黙。
しかしおそ松がいきなり妙な事を言い出しました。
「じゃあ、取引をしない？」
「は、はい？」
「俺は今、金がない。でも働きたくない。でも金がないとつまらない！」
いきなり何言ってんだこいつ。
「でもさぁ、自分の弟の事が好きなリアルJKなんて、最高に面白いじゃん？」
「！？」
またあのニタァって悪魔の笑み。
「お前は俺に恋バナをする。俺はかわりにカラ松に被害を与えない。弟達からのカラ松への不憫な扱いも、さりげなく止めてあげる。今回のことも誰にも言わない。」
「！」
「お前はネタを提供し、俺はカラ松を甘やかす。これでどうだ？」
「...。」
私は電話番号を渡しました。それのお返しに、生徒手帳を返されました。
「んじゃ、今度は退院後にね！Aちゃん♡」
悪魔のような、じゃない。本当に悪魔でした。
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錠前(プロフ) - ライムさん» ライムさん、コメントありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年6月30日 12時) (
レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 作品、めっちゃ素晴らしいかったです！！！これからも応援しています！ (2019年6月17日 6時) (レス) id: 928e00f70d (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - killlifeさん» killlifeさん、コメントありがとうございます！甘いだけじゃない恋、ある種の苦味のある甘酸っぱさ、そういうモノがこの作品のテーマのひとつだったので、伝わったようでとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年5月30日 19時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
killlife - とても良い作品でした。甘酸っぱくて何だか学生時代の頃を思い出しました。コメント頂けると嬉しいです。 (2019年5月27日 0時) (レス) id: a010fddd46 (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - はむめろんさん» はむめろんさん、コメントありがとうございます！心が動かされた、というお言葉、本当に嬉しいです。この作品を通して、貴方に『何か』が伝わったなら、それだけで私は満足です。新作も頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2018年8月18日 10時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錠前 | 作成日時：2016年10月22日 16時
