7<χよ、しばらくぶりだな。> ページ8
〜とある謎の少女が語る〜
5月9日-17:28-
何故、私はこんな場所に居るのでしょうか。
病院...それも大きいやつの。
びゅうびゅうと風が私の横を吹き抜け、髪が激しく揺れました。
確かあの日も風が強かったんです。
それであいつ...松野おそ松は落ちてしまいました。
でも、あれは私の所為じゃない。
全部風のせいだ、なんて。雪かよ。
やはり自分から動くなんて馬鹿な真似はしないものですね。何が起こるか検討もつかない。
でも、お見舞いにはいかないといけない。
だって、あの御仁の兄ですから。
あとは問題の生徒手帳です。あれを誰かに見られるのは、想像するだけでも背筋が凍ります。しかもそれを、此所に落としたかもなんて...。
あぁ、駄目だ。胃が痛い。
腹を抑えながら病院に入る。
とんとんと階段を上がる音と、
どくどくと脈打つ心臓の音が、
まるで1つの曲のように体に響きました。
目的の病室に移動し名前を確認する。
「まつのおそまつ...。」
手に持った、お見舞いが入っているかご。
中には果物が入っています。
わざわざ買わないでも良かっただろうか、
と思いながらドアをノックする。
「...。」
返事がない、腹を括らねば。
なるべく音をたてないように、扉を開ける。
あわてて問題の『あいつ』を探す。
あいつ_マツノオソマツは寝ているようです。
すーすーと心地好さそうな寝息を立てていました。ぶん殴りたい。
そっと中に入りました。あいつも起きる様子はない。
「シツレイシマス...」
一応言っておきましょう。
なんで私はこんな馬鹿みたいな事してるんだと、
自分をぶん殴りたい衝動に刈られていますが、
今は置いておきます。
マツノオソマツを起こさないように慎重に棚へ近づく。
あとちょっとで棚の上にかごを置ける!
そして、かごを置いたその瞬間だったのです。
「おいおい、おっじょうちゃぁ〜ん?」
「!!!!!」
ドキーッと、心臓が音をならして飛び上がります。
にたぁ。
まるでそんな効果音だってつくかのような気持ち悪い笑み。
「狸寝入りクソ野郎...。」
ボソッといったはずの言葉は聞こえていたらしく、
野郎、オソマツはニヤニヤと私を見ながら、
「クソ野郎はひどくない?
君だって俺のこと転ばせたじゃん。」
言い返せないため、口ごもります。
「...ね、三ノ橋Aちゃん?」
「...!!」
オソマツは私の生徒手帳をヒラヒラさせながら言いました。
「ちょっと...お話しましょ?」
悪魔というのはこんな顔をしているのかと思いました。
8<むしろツチノコ発見より凄いと思う>→←6<なら解いてみせましょう>
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錠前(プロフ) - ライムさん» ライムさん、コメントありがとうございます!楽しんでいただけたようで何よりです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年6月30日 12時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 作品、めっちゃ素晴らしいかったです!!!これからも応援しています! (2019年6月17日 6時) (レス) id: 928e00f70d (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - killlifeさん» killlifeさん、コメントありがとうございます!甘いだけじゃない恋、ある種の苦味のある甘酸っぱさ、そういうモノがこの作品のテーマのひとつだったので、伝わったようでとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年5月30日 19時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
killlife - とても良い作品でした。甘酸っぱくて何だか学生時代の頃を思い出しました。コメント頂けると嬉しいです。 (2019年5月27日 0時) (レス) id: a010fddd46 (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - はむめろんさん» はむめろんさん、コメントありがとうございます!心が動かされた、というお言葉、本当に嬉しいです。この作品を通して、貴方に『何か』が伝わったなら、それだけで私は満足です。新作も頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2018年8月18日 10時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:錠前 | 作成日時:2016年10月22日 16時