４＜最悪な出会い＞ ページ5
〜とある家の長男が語る〜
林の中へ入ったはいいのだが。
「はは...木ぃ一杯コピペしたみてぇ...。」
３分くらいでこのザマだ。
まぁそんなに進んではないから
引きかえそうと思えば引き返せそうだ。
この年で迷子なんて洒落にもならない。
この年で無職なのも洒落にもならないが。
「にしても、こんなとこもあったのね...この公園。」
大きな池がトレードマークのこの公園。
ある程度きれいな所だと思っていたが、
まさかこんな。草木はのび放題、木ははえ放題。
小さな森みたいなイメージだった。
歩く度にがさがさと林の音がする。
整備も行き届いてないし、
いつから山んなか入ったっけって思う。
「それにしてもあいつ...どこいった？」
まだ遠くじゃないはず＿
周りを見渡すが、
青フード野郎はみあたらねぇ。
「諦めるかぁ？」
そう呟いた、次の瞬間、
俺はその音を聞き逃さなかった。
がさ、ぎし。
「！」
この音、上から？
上を見上げると、一際大きな木がたっていた。
そこの木ががさがさ揺れていたのだ。
木の表面には何かで傷をつけたかのような、
擦ったようなあとがあった。
擦ったようなあとは、
何回ものぼったことによって出来たことだと分かる。
「...いくか。」
まるでかくれんぼ。
まだ弟が俺のことを、
『兄さん』なんて呼んでなかった少年の記憶。
「...よしっ」
木をのぼるのなんていつ以来だろうか。
三男があの頃とは一転して、
「みっともない」なんていってきた頃以来だろうか。
それで少しづつ他の弟逹ものぼらなくなったんだ。
誰もいなくってつまらなくて、
のぼるのをやめた、あの日以来だろうか。
「····ッ」
昔は簡単にのぼれたのになぁ、
年ってやっぱ怖いわ〜。
なんてどうでもいいことを考えながら、
俺はすこしづつ、てっぺんに近づいていった。
もう少しでてっぺんというとこで、
枝に体を引っ掻ける。
そこには、俺がいる枝より、
すこし上の太い枝に体を引っ掻け、
双眼鏡でどこかを見つめている、
『そいつ』、青フード野郎の姿が、たしかにそこに存在していた。
「...みーつけた。」
かくれんぼ？ガキの遊びだなんて、終わらせてやる。
まあ、息も切れてるし、格好はつかないけど。
青フード野郎は、暫く経ってから、くるりとこちらを振り向いた。
フードの隙間から少しだけ見えたその目は、
驚いたように見開いていて、
「...マツノオソマツ。」
そう、確かにそいつはそうこぼしたんだ。
会ったこともないってのにだよ？
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錠前(プロフ) - ライムさん» ライムさん、コメントありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年6月30日 12時) (
レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 作品、めっちゃ素晴らしいかったです！！！これからも応援しています！ (2019年6月17日 6時) (レス) id: 928e00f70d (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - killlifeさん» killlifeさん、コメントありがとうございます！甘いだけじゃない恋、ある種の苦味のある甘酸っぱさ、そういうモノがこの作品のテーマのひとつだったので、伝わったようでとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年5月30日 19時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
killlife - とても良い作品でした。甘酸っぱくて何だか学生時代の頃を思い出しました。コメント頂けると嬉しいです。 (2019年5月27日 0時) (レス) id: a010fddd46 (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - はむめろんさん» はむめろんさん、コメントありがとうございます！心が動かされた、というお言葉、本当に嬉しいです。この作品を通して、貴方に『何か』が伝わったなら、それだけで私は満足です。新作も頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2018年8月18日 10時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錠前 | 作成日時：2016年10月22日 16時
