３＜χの解を求めよ＞ ページ4
〜とある家の長男が語る〜
「えっ？」
ガッという音と共に、次の瞬間、俺は倒れていた。
簡単にいうと、転んだのだ。
否、『転ばされた』のだ。
目の前にあるのは青。青が佇んでいる。
カラ松が瞬間移動してきたのかと目を疑ったが、
どうやらそうではないらしい。
俺の目の前にいる、
青いパーカーのフードを被った『誰か』が、
俺に足を『引っかけた』のだ。
「...は？」
そいつはフードで隠れた目で、
じぃっと俺を見つめている。
フードの隙間から見える、凍るような無表情。
状況が掴めない俺ではあったが、
さっきまで手で掴んでいたものが無くなっていたことに気づかないほど、俺は馬鹿ではない。
「さっ、財布ッ！！！」
カラ松の財布は、
俺の手を限界まで伸ばしても、
ギリギリ届かないところに落ちていた。
転んだ拍子に落ちたのだろう。
「ッ！！！！」
まぁ、走ってるカラ松と、
いまだに倒れている俺では、
どちらが財布を先にとれるかなんて目に見えていた。
「おそまぁつッ！！！！！」
ブチギレ状態のカラ松は、
すぐに落ちてる財布を拾った。
そしてゆっくりと此方を振り向いた。
「え、えっとぉ...」
俺が今の状況を飲み込めないでいると、
カラ松はふざけるなよ、と叫び出した。
だがしかし、俺は上の空だった。
何故転ばされた？
今一、否、全く分からない。
そうだ、あいつはどこに＿＿＿
すぐに俺はおきあがった。
しかし、既に『そいつ』は居なく、
俺の周りには怒鳴り散らすカラ松と、
周りの冷たい視線。
カラ松は穏やかな性格で、
あまり怒ったりはしないが、
たまに堪忍袋の尾が切れたように、
今まで我慢してたぶんを吐き出すように、
まるでいきなり火山が噴火でもしたかにように、
大激怒することがある。
まさに今それなのだろうが、
今の俺はフードの野郎を探すのに必死だった。
だってあれじゃん。
いきなり転ばされたし、わけわかんないし。
身長的にガキだしさ！？
謝るまでゆるさねぇ！！！
ぐるりと辺りを見渡すと、
遠くに、この公園の、あまり人気(ひとけ)がない、
木々が生い茂ってる方へ走っていく、
青いパーカーのフードを被った人物が見えた。
そいつは木々に隠れ、
すぐに見えなくなったが、あいつだ。
あいつで間違いない。
「ッ！悪い、カラ松！！
ちょっといってくる！！！！」
「ちょっ！？おい！！！！話はまだッ！！」
走っていく俺を呼び止めるカラ松を無視して、
俺は全速力で走っていった。
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錠前(プロフ) - ライムさん» ライムさん、コメントありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年6月30日 12時) (
レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 作品、めっちゃ素晴らしいかったです！！！これからも応援しています！ (2019年6月17日 6時) (レス) id: 928e00f70d (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - killlifeさん» killlifeさん、コメントありがとうございます！甘いだけじゃない恋、ある種の苦味のある甘酸っぱさ、そういうモノがこの作品のテーマのひとつだったので、伝わったようでとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年5月30日 19時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
killlife - とても良い作品でした。甘酸っぱくて何だか学生時代の頃を思い出しました。コメント頂けると嬉しいです。 (2019年5月27日 0時) (レス) id: a010fddd46 (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - はむめろんさん» はむめろんさん、コメントありがとうございます！心が動かされた、というお言葉、本当に嬉しいです。この作品を通して、貴方に『何か』が伝わったなら、それだけで私は満足です。新作も頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2018年8月18日 10時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錠前 | 作成日時：2016年10月22日 16時
