２３＜作戦御結構＞ ページ24
〜とある家の長男が語る〜
6月30日-14:00-
その日はもう、うだる暑さが始まっていて。
俺は自室の襖の前に立っていた。
汗が一雫、床に落ちたその時。
「…よし。」
袖で汗を拭うと、俺は前を向いた。
さあ、襖を開けて勢い良く叫べ。
「おいお前ら！！海いくぞ！！」
「「「は？」」」
弟達がこちらを向く。
「何言ってんの？おそ松兄さん？」
「そうだよ、そもそもお金がないでしょ。
また熱海の話？」
末弟は此方を怪訝そうな顔で見、
三男は求人誌を閉じた。
こうも馬鹿野郎、といった目で見られると、
しゅんしゅんと心が縮んでいくのだが。
なんかちょっとだけカラ松の気持ちが解ったような。
でもこれは成功させないと俺がヤバいんだよ。
あの般若に何されっかわかんないの。
「これが目に入らぬか！」
ポケットから『それ』を出す。
『それ』はパァッとひどく眩い光を出した。
「まっ眩し…！？」
「ンアーッ！？！？
目がぁあ！！！目があああ！！！」
「オレより光り輝いてる…だと！？
おそ松、それは……！？」
一松が目を塞ぎ、十四松がジタバタと叫ぶ。
カラ松はサングラスをかけた。
出した『それ』はチケットだった。
『指示なんて必要ないでしょう。
貴方が突拍子も無いことを言い出したとしても、
それは日常でしかないでしょうから...。』
あの日の痛みとあいつの言葉を反芻する。
相変わらずちょっとだけ上から目線の少女＿
Aは、俺にチケットを渡してきた。
『これは？』
『ここからはちょっと遠い商店街の、
くじ引きの１等が当たったんです。
高級旅館に２泊3日、
７人様までなら無料で泊まれるそうですよ。
7/7にちなんでいるそうです。
実際七夕にやるそうですし。近くに海もあります。
偶然当てたのですが、その時この作戦を思いつきまして＿＿』
『は！？』
そんな良いもんをこんな無意味なことに。
理解をとうに超えている…ということで一旦回想終了。
「おそ松兄さん、それは！？」
「ふふふ！これは…かくかくしかじか！」
チケットをひらひらさせて鼻を擦る。
「くじ引きで当てた！？すごいね。」
「お、おう、まあな。」
当てたのは自分じゃないのを思えば、
正直心苦しいが。
しかしこれで弟達も目の色を変えた。
「まあ、そういうことなら…。」
「たまにはやるね！おそ松兄さん！」
「たまには！？！？」
末弟の一言にやられそうになったが、作戦は大成功。
ひとまずはあの般若にシバかれなくてすみそうだ。
２４＜バスって英語にすると絶対ブスだよね＞→←２２＜一葉さんにバトンタッチ＞
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錠前(プロフ) - ライムさん» ライムさん、コメントありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年6月30日 12時) (
レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 作品、めっちゃ素晴らしいかったです！！！これからも応援しています！ (2019年6月17日 6時) (レス) id: 928e00f70d (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - killlifeさん» killlifeさん、コメントありがとうございます！甘いだけじゃない恋、ある種の苦味のある甘酸っぱさ、そういうモノがこの作品のテーマのひとつだったので、伝わったようでとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年5月30日 19時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
killlife - とても良い作品でした。甘酸っぱくて何だか学生時代の頃を思い出しました。コメント頂けると嬉しいです。 (2019年5月27日 0時) (レス) id: a010fddd46 (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - はむめろんさん» はむめろんさん、コメントありがとうございます！心が動かされた、というお言葉、本当に嬉しいです。この作品を通して、貴方に『何か』が伝わったなら、それだけで私は満足です。新作も頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2018年8月18日 10時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錠前 | 作成日時：2016年10月22日 16時
