１＜某月某日某時某分にて＞ ページ2
〜とある家の長男が語る〜
「あ〜ぁ...有り金つかいはたしちゃったぁ...。」
今日こそは勝てると思ってたのに、
と独り言を呟きながら、
俺は木々が並ぶ公園前の道をのんびりと歩いていた。
財布の中身は既に焼け野原のようになっていた。
うん、マジで。大袈裟じゃないの。ほんとマジなの。
母親に小遣いをせがむという案もあるが...
「そのせがんだお金で今日パチンコで負けたわけじゃ〜ん。」
働くという案は抹消されております。
んなことできるなら、
もうとっくに職についてるっつーの。
かっつーんと小石をけって、
すこしスッキリしたような気分になる。
このカリスマレジェンドとて、
お金がないと暇なのです。
だって、競馬も、パチンコも、
なぁんにも行けないんだよ！?
こういう時は弟たちを探しに行きましょ。
んでお金貸してもらお。
あんま期待はしてないけど。
どうせ焼け野原なんだけどさ。
てなわけで弟探しに俺は歩いているわけだが...。
.........前の件を思い出すと胸が痛い。
次男の怪力を食らうのも、
三男のあの顔をまた見ることも、
四男のアレは…
なんか見ちゃいけなかったものな気がするし、
ドブ川バタフライをする五男は...まぁ、うん。
末弟の言葉という名の暴力を受けるのも、
まぁ、全て、率先してやりたいことではない。
暇。ニートの敵である。
そう言ったら、あの三男はまた
「就職しろ！！」なんてほざくのだろうか。
さらさらとした風がふき、自分の前髪をゆらす。
あぁ、もう5月なのか＿＿
涼しげな風、葉の緑が美しい。
そんなことを思いながら歩いていると、
爽やかな背景には到底相応しくない、
暑苦しい格好の男が目にうつった。
「あ、カラ松。」
そいつはいつもの定位置、
つまり橋の上にたっていた。
どうやら逆ナン待ちのようだ。
はぁ..と低温のためいきをついて、
周りを見る姿は、まさに不審者。
イタい。
この言葉ほど、
こいつを表せる言葉はないだろう。
そう思えるほどに、次男の格好は暑苦しかった。
皮ジャン、サングラス。
トドメに自分の顔がプリントされたタンクトップ。
寒い視線が雨のように降り注ぐ。
その寒い視線に耐えられる、
そのメンタルに再度感心する。
よく通報されないね、とコメントしておく。
お兄ちゃん、お前と同じ顔で恥ずかしいよ。
まぁ、さがしていた弟が一人見つかった。
ましてや、あの次男だ。
ちょちょっといえばすぐ騙せるだろう。
「カラ松〜！」
俺はカラ松に向かって走り出した。
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錠前(プロフ) - ライムさん» ライムさん、コメントありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年6月30日 12時) (
レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 作品、めっちゃ素晴らしいかったです！！！これからも応援しています！ (2019年6月17日 6時) (レス) id: 928e00f70d (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - killlifeさん» killlifeさん、コメントありがとうございます！甘いだけじゃない恋、ある種の苦味のある甘酸っぱさ、そういうモノがこの作品のテーマのひとつだったので、伝わったようでとても嬉しいです。これからも頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2019年5月30日 19時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
killlife - とても良い作品でした。甘酸っぱくて何だか学生時代の頃を思い出しました。コメント頂けると嬉しいです。 (2019年5月27日 0時) (レス) id: a010fddd46 (このIDを非表示/違反報告)
錠前(プロフ) - はむめろんさん» はむめろんさん、コメントありがとうございます！心が動かされた、というお言葉、本当に嬉しいです。この作品を通して、貴方に『何か』が伝わったなら、それだけで私は満足です。新作も頑張っていきますので、何卒、よろしくお願いします。 (2018年8月18日 10時) (レス) id: 09029ad6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錠前 | 作成日時：2016年10月22日 16時
