【歌い手】拗らせ10年10歳差【うらたぬき】

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「店長からAちゃんの話が出るたびに誰かと似てるって思ったら、同じ職業で同じ名前のリスナーいたなって。案の定アイコンも同じ髪型だし」

ほら、この子でしょ？
そう言ってうらたさんはスマホの画面を見せた。そこには、うらたさんにリプをするためだけに作って、8年間ずっと使い続けてるわたしのアカウントが映っていた。

「歌ってみた出したらご丁寧に長文送ってくるし、その割にはリリイベとか来ねぇなって思って覚えてたんだよな」

「収入が、まだ安定しなくて…」

まって。専垢バレてる。いや本人に色々送ってるしエゴサ引っかかって欲しくてわざわざ「うらたさん」ってエゴサワード付けてツイートしてたのはわたしだけど。いざ本人がちゃんと読んでるって思うと恥ずかしすぎるこれ。

専垢やばい。絵文字めっちゃ使ってて子供っぽい。いやでも好きって伝えるにはハートとか使った方が感情表現できるかなって思って使ってて…まって変なリプ送ってなかったっけ。この8年間で1度も変なのを送らなかった自信は全くない。100回くらい変なリプ送ってそう。

「最近可愛いことしてくれてたよな〜俺がコメ読みしたこと、俺しか入れてないTwitterサークルでツイートしてうらたさん以外の目に入ることないからツイートしちゃう〜！とか言って」

「ねえええやめてくださいアレ見てました！？エゴサしたとしてもあんま見られてないと思って」

「俺が褒められたがりなの知ってるだろ。誰かしら俺の事褒めてくれるからエゴサは毎日してる」

おはリプも140字ギリギリまでよくやるよな〜とか言いながらわたしのアカウントを見るうらたさん。
今日のおはリプどんなの送ったっけ変なのだったっけ、思い出せないどうしよう。

「まぁ8年前からリプ送ってくれてるの知ってるし、俺に歌い続けて欲しいってずっと思ってるってのも知ってる。Aちゃんは、俺がステージに立てなくなる原因をわざわざ作ろうとしない。ちがう？」

「…何も、ちがわないです…」

「だろ？それに、俺から彼女扱いされるのも嫌じゃないだろ、あの様子だと」

すべて図星を突かれる。
この店の中限定だとしても、うらたさんの彼女になれるなら本望だ。10年間それを夢見て生きてきた。もしこの取引を受けたとして、わたしは誰に自慢するでもなく自分の心の内に留めておくだろう。うらたさんの炎上の火種を作りたくないからだけじゃない。うらたさんがわたしに向けた言葉や行動すべて、わたしだけが知っていたいから。

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