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画面の向こうに、ステージの上にいたはずのうらたさんがこんなに近くにいて、身体ごと全部包み込まれてるなんて夢か何かか。

混乱して固まるわたしに追討ちをかけるように耳を撫でるうらたさん。

「真っ赤。かわいいね」

「あ、あの、やめて、しんじゃう…」

「店長からAちゃんの話聞いてた時からずっと考えてたんだけど」

人の話聞かないなこの人。知ってたけど昔から。

「このバーの中だけ、俺たち関係持たない?」

「へ、?」

「俺とAちゃんは、このバーの中でだけ彼氏と彼女。このバーを出たら俺たちは活動者とそのリスナー。シンプルでしょ?」

わたしの髪でくるくると遊びながら謎の提案をするうらたさん。なぜそんなことをわたしに言うのか。

「Aちゃんは変な匂わせとかしないと思って。俺の事をひとりの男として好きである前に、ステージの上で歌う俺の事も同じくらい大好きなんでしょ?」

「そりゃそうですよ、歌声から好きになったんです」

「嬉しいこと言ってくれる〜。この活動して、彼女いないよとか言ってるけど恋愛願望がないわけじゃないんだよね。ひとりの女の子と愛し合うとか、そういうのしたいとは思っててさ。でもバレたら大切なものをたくさん失うからずっと我慢してきたんだよ。Aちゃんなら、俺との関係周りにバラしたりせずに、この店限定の彼女になって欲しいって言っても受け入れてくれそうな気がしてる」

恋愛願望がないわけじゃない。そんなのとっくに知ってる。最近なんかダミヘの時「女といちゃつかせろ〜!」とか、うらたさんのことをあまり知らない人が聞いたら変な風に捉えられる発言も結構してる。そのせいでうらたさんの彼女になれたらとか、うらたさんの好きな人になりたいなとかそういうことを考えることが多くなってきていた。

でも、だからって。

「わたしが、本当の彼女になりたいだとか、そうしてくれなきゃバラすとか言い出したらどうするんです?」

「それは大丈夫」

何を根拠にとため息をつくと、うらたさんはわたしを抱き締める腕を解いてわたしの目を見た。

「Aちゃんは俺の嫌がることしないし、俺に嫌われる行動なんか取ったりしない。知ってるよ、8年前から」

「8年…って」

「俺の記憶力舐めんなよ」

8年前。中学2年生。スマホを買ってもらってTwitterのアカウントを作って、うらたさんにリプライを送り始めた辺り。

「本名使っちゃって、ネットの怖さわかってなかったんだね、かわいー」

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せんたぬ(プロフ) - 柴イヌさん» 嬉しいコメントありがとうございます!夢主ちゃんからすると10歳年上の大人の男性なのでダンディーなうらたさんになってたら嬉しいです。現実と同じで活動してる設定なので普段の可愛らしい面も残しつつ物語を進めていこうかなと思ってます! (2022年8月21日 20時) (レス) id: eeb8a2c741 (このIDを非表示/違反報告)
せんたぬ(プロフ) - 七巳流さん» 何年間もリプしてる夢主ちゃんのこと覚えちゃってたんですよ、ある意味ネトスト的なところはあるかもです笑 (2022年8月21日 20時) (レス) id: eeb8a2c741 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - 初コメ失礼します!こんなうらたぬきさん初めてみました!大人の色気と裏の幼い感情が入れ混じってるのめっちゃすきです!これからも作者さんのペースで更新楽しみにしてます! (2022年8月21日 20時) (レス) id: e7748e17b4 (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - ん?ストーカーかな?まぁ許す、推せるから。 (2022年8月20日 15時) (レス) @page5 id: 5384c31615 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せんたぬ | 作成日時:2022年8月16日 13時

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