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「あ、おかえり〜。さっぱりした?」
「ん。水貰うわ」
「はーい、どうぞ」
冷蔵庫から出して時間が経って、少し汗をかいたペットボトルを受け取る。火照った身体にちょうどいい冷たさの水。
「お前、俺合わせて何人と関係持ってんの」
「……何、気になる?」
目線をスマホに向けたまま答えるA。
教える気、なさそうだな。
「いや、別に。ちょっと聞いただけ」
俺とAの関係も壊れかけている気がする。なんとなく、そう感じる。
「ふあ…ねっむ…うらたさ〜ん腕枕〜」
「腕痛くなんだけど」
「しらない、ほらはやく!」
かわいいな、本当に。
そんなかわいい姿、俺以外にもたくさん見せてきたんだろ。
乾きかけのしっとりした髪も、無防備に晒される胸元も、薄い唇から紡がれる言葉も。
あーくっそ。ムカつく。
こいつが浮気性なのも、俺が浮気相手なのも、全部納得して、その上で関係を築いてるはずなのに。
「A」
「ん?なぁに…ひゃ、」
細い手首をベッドに縫いつけ、抵抗されないようにぐっと抑える。
「…脱げ」
「……もう、シャワー浴びたばっかりなのに」
「うるせぇ脱がすぞ」
「乱暴にされるの好きだよ?余裕ないうらたさんかわいいし」
「っ、、くっそ」
お前はいつも、俺の行動を見据えて、俺より何枚も上手の返しをする。振り回されてばっかりだ。
「いいよ、ナマでも」
「……はっ、?」
「ナマでしたことはまだないの、うらたさんが初めてだよ?今断ったらいつの間にかナマのハジメテも奪われちゃうかも…ね?」
抑える手をするりと抜け、俺の首に腕を回す。
軽く開いた唇を俺の唇に押し当て、くちゅり、といやらしい水音が鳴るようにキスをした。
「っ、お前さぁ…」
「名前呼んでよ、わたるくん?」
「…どうなっても知らねぇ」
__
prr,prr,p…
「はい、あー…A…なんや急に」
「会いたくなっちゃって?」
「くそビッチ、絶対ちゃうやろ」
「んふふ、全部知ってる人だから甘えやすいの」
「そりゃよかったわ、さっきまでチビとホテルいたやろ。今どこ?」
「うらたさんに送ってもらって、今家」
「じゃあ俺が家に行くわ、ベッド綺麗にしといて」
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作者名:せんたぬ | 作成日時:2021年7月30日 22時