契約 ページ10
.
.
「分かった。何をすればいい？」
「…まず、お前の家に住ませろ。
灯台下暗しって言うだろ？」
たしかにそうかもしれない
まさか刑事の家に犯罪者が
いるなんて誰も思わないだろう。
「いいけど、私の部屋狭いよ」
「これまでの窮屈な暮らしに比べたら
どんな狭い部屋でもマシだ」
二つ返事をしてしまったけど、
いきなり男と同棲するってどうなんだろう
「俺は基本昼寝て夜行動する。
だからほっといてくれて構わないし」
「…分かった。あと、
あなたのことどう呼べばいい？」
「カイでいい」
本名を言わないあたり
まだ彼に信頼されてないんだと思う
(当たり前か…)
「…お前本当に刑事やってんの？」
「そうだけど、」
突然の質問に顔を上げると
目の前の彼が覆いかぶさってきた
「ちょっと警戒心なさすぎじゃね？」
「一応武道も習ったから
お望みなら抵抗するけど」
しかし。こないだも思ったことだけど
彼の動きはそこらへんの刑事を上回る。
だから抵抗したところで敵わないし、
「抵抗したら殺されちゃうかもしれないし」
「賢明な判断だな」
フッと笑うとカイは私の上から退いた。
「俺は明後日の件の話をつけてくるから、
せっかくだしお前はここで寝てれば？」
「あー…どうしよっかな」
カイは机にあるペンを手に取ると
「メモないや。手、貸して」
とまたこっちにやってくる。
「はい」
手を差し出すと彼は手の甲にペンで
“0”と書いたところで動きを止めた
「ここだと誰かに見られるかもな」
ボソッとそう言ってからしゃがみこむと
いきなり私のスカートを捲った
「ちょっと、」
「じっとしてろって」
私の膝を押さえると太ももにペンを走らせる
「くすぐったい…」
電話番号とメールアドレスを綴った文字は
外見に似合わないかわいらしいものだった
「もしシャワー浴びて帰るなら、
消える前に登録しとけよ。
明日の晩電話してくれればいいから」
微かに笑った彼はそう言い残すと
部屋を出て行ってしまった。
太ももに刻まれた文字は
私の方向から見たら逆さまで、
登録するとき少し見づらくて。
登録名は少し迷って“悪魔”にした。
せっかくだからシャワーを浴びようとして
服を脱いでシャワールームに入ると、
大きな鏡が全身を映し出す
(烙印みたい…)
太ももの文字を見てそう思った
私は今日、
悪魔と契約を交わしてしまった。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
