支配 ページ41
.
.
カシャンッ
音もなく後ろにいた人物に驚いて
思わず携帯電話を落とす
拾おうとしゃがんだときにジョンインを
視界に入れることはできたが直視できなかった
凍るような視線を感じたから…ー
「も、もしもし？」
やましい電話をしているわけでもないのに
電話を持つ手も声も震えてしまう
『おい、大丈夫かよ』
「携帯落としちゃっただけ」
『…お前誰かと住んでんの？』
「ううん、一人だよ。
じゃ、また明日」
一方的に喋り終えると電話を切った。
「…珍しいね。火曜なのに帰ってくるなんて」
いきなり説明しだすのもおかしいと思い
何事もなかったかのように切り出した
「忘れ物しただけ。…で？」
具体的に言われなくても
何を聞かれているのかは分かる
「こないだの同僚よ。
明日飲み会があるからって」
「それであんなに動揺してたんだ？」
「だって、いきなり後ろにいるから」
これが浮気を疑うカップルの
喧嘩ならまだ可愛いものだ
彼は常に私が寝返らないか、
誰かと組んでいないかを疑っているのだ
「へえ、まあいいや」
予想外にあっさり退いたから驚いた。
「変なこと勘繰ったりしてないよね」
ジョンインは返事もせず
バッグから何かを探している
きっと疑ってるんだ…
「そんなに疑うなら盗聴器でも
つけてくれて構わないから」
そう言うと彼は動きを止めて
例の如く笑いを浮かべた
「もうつけられてるかも、
とは思わないわけ？」
「…」
今まで考えたことがなかったわけでもない。
家の中に仕込まれているかもと思って
それなりにキョロキョロしたこともある
それに私の持ち物にも
仕込まれている可能性は十分ある…ー
「は、本気にすんなよ」
からかうように笑うと
彼はまた部屋を出て行った
確かに彼は出て行ったのに、
部屋中に目がある気さえして
背中に悪寒が走った。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
