秘密 ページ5
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「……」
まず馬乗りされていて抵抗のしようがない
「全部聞いてたよな」
男は疑問形ではなく独り言のように
そうつぶやくとポケットから何かを出した
「ちょっと…」
私の喉に突きつけられたのはナイフ。
「殺しとこっかな」
「絶対に…口外しない」
「信じるとでも？」
「本当よ」
それでも上から降ってくる視線は冷たい
「じゃあ、信じてやるよ」
そう言いながら男の手は
私のシャツのボタンに伸びてくる
「え」
「そういうことだろ？お前、自分が
女だったことをありがたく思っとけよ」
それは、男だったら殺してたってこと？
この男の目には生気がなくて、
それが本当でもおかしくないと思った。
下手に抵抗したら、殺されかねない…
「あんまりビビらないんだな」
それはきっと顔に出ていないだけで
怖がらないわけがなくて。
「泣いたら即殺す。
泣く女がこの世で一番嫌いだから」
男は片口を吊り上げて笑った
“ニイッ”という効果音で表せそうな
不気味で左右非対称な、
まるで悪魔みたいな…ー
(私はこの笑みを知っている)
「…カイ？」
男の顔も動きも一瞬にして固まった
「金曜日に踊ってる、カイでしょ？」
「…は？」
「カイだ」
あまりにも私が自信たっぷりに
言ったからだろうか
「…誰かに顔見られた覚えないんだけど」
男は大きなため息をつきながら言った。
たしかにキャップを深くかぶっているのと
そうでないのとでは印象が随分違う
だけど、
「口で…笑い方で分かった」
「そんな笑った記憶ない」
彼が無自覚でもさほど驚かなかった
だって踊ってるときの彼は
取り憑かれているみたいだったから。
「ますますお前は消さなきゃまずいな」
再び冷たい表情に戻ると
悪魔は私の首に手をかけた
「嫌だ、だって…また
あなたのダンス見たい」
しっかり彼の目を見てそう言うと、
悪魔は何秒か静止した後に
首から手を離し、私の上から退いた。
ゆっくり体を起こすと
打ち付けた背中が少し痛む
「今回は見逃してやるよ。
その代わり今日見たことは全部忘れろ。」
「分かった」
「バラしたらすぐ消すから」
そう言うとカイは私に背を向けて歩きだす
「ねえ、また見に行っていいんでしょ？」
大切なことを彼の背中に問いかける
「勝手にしろ」
彼は振り返りもせずそう言うと
そのまま立ち去ってしまった
私はおかしいのだろうか
怖い目にあったのに、
不思議と心は晴れやかなのだ
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
