因縁 ページ38
.
.
多分、少し平和ボケしていた。
犯罪者と住んでいる時点で
平和も何もないんだろうけど、
運び屋についての捜査は進んでいなかったし
ジョンインも少しは落ち着いていたから。
「馬鹿じゃん、お前」
目を開けた途端、視界に入ったのは
思いっきり顔をしかめるビョンベッキョン。
「あれ、ここ」
「病院。動くなって、針抜ける」
自分の腕に刺さる点滴の針を見て
やっと事態を把握した。
そうだ、さっき現場で…ー
『警察だ、動くな！』
上の声に続き私たちも後から突入。
慌てふためく密入国者たちを押さえ
現場はすぐに収拾がつくと思いきや、
『待ちなさい！』
私は視界の隅で動いた男を
咄嗟に追いかけた。
男が階段を駆け下りようとして
私も段を下りて、そのとき異変は起こった
(まずい、)
突然目眩がして平衡感覚がなくなった。
昨夜はジョンイン帰ってこなかったし
寝れたはずなんだけどな…
あ、そっか
かえって心配で眠れなかったんだった…ー
体が浮いているときにそんなことを考えて、
強い衝撃の後に意識を手放したのだ。
「あの男は？！」
「運良く？悪く？
お前の下敷きになって捕まった」
「そうなんだ…」
「男は普通に動けたのに
お前は気失うんだもん、
ミンソク先輩超心配してた。
今日はもう点滴終わったら帰れって」
「そう…申し訳ないなあ」
「医者が疲労って言ってたけど
そんなに疲れてんの？」
普段ふざけてばかりの同僚が
変に真剣な顔で聞いてくる
「いや？少し寝不足なだけで、」
「これもさ」
突然持ち上げられた
点滴をしてない方の腕
普段は長袖で見えない傷が露わになっていた。
「お前大丈夫なの？」
誰だってこの傷を見たらそう聞くだろう
こないだジョンインに掴まれた手首は
うっ血して、爪が食い込んだところは
かさぶたになっている。
「何でもない」
もう遅いけど慌てて腕を引っ込めた。
実際こんなのは大したことない。
「はあ…まあ聞いても言わないよな。
まず男がいたことが驚きだけど。」
「うるさい、もう帰っていいよ」
「先輩命令なんだよ、
お前を家まで送り届けるの。
俺後で怒られるの嫌だから」
点滴が終わると大人しく
ビョンベッキョンの車に乗った。
私たちに会話はなく、
ボーッとしてる間にマンションの前に着く。
シートベルトを外していると、
「うわ」
と怪訝そうな同僚の声。
視線の先には、エントランスに
入っていく血まみれの男…
ジョンインの姿が見えた。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
