理屈 ページ33
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「カイ、どうしたの？！」
ある日の晩、寝ようとしていると
明け方にしか帰ってこないはずの
カイが帰ってきたのだが、
「…相手と揉めたんだよ」
不貞腐れた顔には怪我、怪我、怪我…ー
頬は赤く腫れ上がっているし、
ところどころ小さな切り傷、
口の端も切れている気がする
「それ手当てした方が…」
「いい」
「でも、」
「こんなの慣れてる」
間を与えず言い放つと
彼は浴室に行ってしまった。
あの感じだときっと体も傷だらけのはずだ
前に見たたくさんの傷痕は
こうやってできていくんだな…ー
先にベッドに入って目を閉じていると
しばらくしてカイもやってきた
「クッソ…」
やはり体もやられたのか、
横になる途中も痛いみたいで顔をしかめている
「大丈夫？」
「…起きてたのか。
俺にとっては“大丈夫”な範囲だ」
そう言うと寝返りを打ってこっちに背を向ける
「…なあ」
「何？」
「お前は俺を裏切ったりしないよな？」
想定外の質問に少し間が空いてしまう
「…しないよ」
「なんだよ今の間」
「いや、びっくりしただけ。
命令形じゃなくて疑問形だったから。
…何かあったの？」
「別に。ふと思っただけ」
「そっか」
「おやすみ」
少しして彼の寝息が聞こえてきて、
今夜こそはぐっすり眠れますように
なんて神様にお願いしてみる。
ー…だけどその願いも虚しく、
私は暫くして異変に気付いた
「やめろ、やめろ」
うなされているカイを
いつものように現に呼び戻そうとする
「カイ、しっかりして」
しかし今回はこれまでのものと違っていた
彼は体を起こして、
充血した目で目の前の宙を睨んでいる
「頼むから、来るな…来るな！」
「カイ、誰もいな…」
「うるせえ！」
私の手は振り払われて、
彼は肩で息をしながら下を向いた
そして次の瞬間カイの手には
ナイフが握られていた
用心な彼のことだ、もしものときのために
ポケットに忍ばせていたのだろう
「カイ、落ち着いて…」
けど私の声は届いている様子はなく、
また彼は目の前の見えない何かを睨む
「…ったく、どこまでついてくんだよ」
肩を震わせて面白そうに笑うと
ナイフを下向きに握り直した
まるでペンをげんこつ握りで持つように…ー
(まずい)
そう思ったときには遅くて、
カイは布団を切り刻み始めた
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
