代償 ページ32
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そこにいたのは…ー
パクチャニョルでなく
全く知らない男だった。
(よかった…)
歳は30半ばくらいだろうか、
無精髭を生やした目つきの鋭い男だ
「イムソンウン、だったな。
お前例の運び屋を知ってるらしいな」
聴取しているのはベテランの捜査官。
「……」
「何か答えろ」
「…知っているが、それが何だ」
つかの間の安堵は一瞬にしてまた壊された
もし本当にカイを知っていたら。
彼が口を割ってしまったら。
「奴について知っていることを全て話せ。
内容次第でお前の処遇も変わるぞ」
捜査官はニヤッとするが、
その言葉が嘘であることは知っている
「保身のために情報売れってことか…」
(言わないで)
(言わないで)
「そんなことするわけない」
笑うように吐き捨てられた言葉。
「ほう…人質でも取られてるのか？」
「あいにく俺には取られるような
大切な人もいないんでね。
ただ俺は奴を裏切れない」
「どうしてだ」
「一生かかっても返しきれないくらい
世話になったんだよあいつには。
だから俺は目ん玉くり抜かれても
爪剥がれても手足ちょん切られても
絶対に何も話さない」
「……」
「たとえ殺されても、だ」
少し愉しそうにすら見える彼は、
その後も運び屋について全く口を割らなかった
「イムソンウン？」
帰ってカイにそのことを話すと、
彼は携帯電話から顔を上げた
「あいつは例え拷問されて
頭がおかしくなっても喋らない」
「本当に？」
「ああ、絶対な」
「一体あなたにどんな借りが？」
イムソンウンの揺るぎなさや、
カイのその得意げな顔の意味を知りたい
「それはソンウンの名誉のためにも言えない」
「余計気になる」
「あいつが黙ってるのに
俺は喋るなんてフェアじゃないだろ？」
「……」
何も言い返せなかった。
彼はそういうところはきっちりしている人だ。
「それよりカイ、体調はどう？」
「今日は仕事キャンセルして
ゆっくりしてたからもう大丈夫。
明日ちゃんと踊りたいからな」
「…前から気になってたんだけど、
どうして隠れながらも外で踊るの？」
何も返事はない
「…分かってる、どうせ教えてくれない」
そう言うと彼はフッと笑った。
(私たちこそフェアじゃない…)
それから数日経ってもイムソンウンから
情報が得られたという報告はなくて、
彼の身柄がどうなったのかも分からない。
決して他人事ではないのだ
だって私も彼と同じで、
悪魔と契約を交わした身だから
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
