嘘 ページ30
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背中に悪寒が走った
そのくらいカイは
狂気じみた顔をしていたから。
「何してるの…」
言葉を発してから自分の声が
震えてしまっていることに気づく。
目は合っているはずなのに
彼の目はどこか違うところを見ているようで…
また彼がのっとられてしまうのが怖くて
掴んだ手に少し力を入れると、
カイはハッとした様子を見せた。
そして我に返ったように、
「もう夜か…」
と小さくつぶやいた。
「いつから書いてたの？」
「…いつだろう」
彼はきっととぼけているわけではなく
本当に我を失っていたのだと思う
「血、出てるよ」
そう言うと彼は自分の拳を開いて
少し眺めてからまた握った。
「絆創膏、」
「このくらいどうってことない。
それよりごめん、机…」
見てみると、紙からはみ出たのか
ところどころインクがついている
「気にしないで」
少し沈黙が流れた後、
カイは大きくため息をついた
「馬鹿みたいだろ？こないだも今日も」
私は何も返せずにいると
彼はそのまま言葉を続けた
「けどこれしかないんだよ」
「何が？」
その質問に彼は口を閉ざしたまま。
「…答えてくれないんだ」
沈黙は肯定の証だ
「もう疲れたからシャワー浴びて寝るわ」
彼は結局何も答えてくれないまま、
散乱している紙を片付けると
そのまま浴室に消えてしまった。
ゴミ箱に丸めて捨てられている紙を
拾って広げて見てみても、
彼の考えなんて少しも分からなかった
寝る前に大丈夫か尋ねると
「大丈夫」と少し笑った彼は
どうやら嘘をついていたらしい…ー
「やめろ！！」
聞いたことのない叫び声で目を覚まして、
それが隣で眠るカイの声だと
理解するのに少し時間が要った。
起き上がって枕元の照明をつけると、
カイは肩で大きく息をしている
「カイ、大丈夫？」
肩を揺すると彼は目を開けて、
夢か
「は……夢、か」
自嘲するように笑う彼は
悪夢を見た子供みたいに泣き出しそうだった
「飲み物持ってこようか？」
「いい、要らない」
そう言った彼に私は腕を引っ張られて、
そのまま腕の中にすっぽり包まれた。
「……」
カイの体は微かに震えている
「もう夢の中じゃない、って言え」
彼から絞り出された言葉からは
普段からは感じられない弱さが見えた
「もう夢の中じゃない、だから大丈夫」
人の体温を感じることで
現にすがりつこうとするかのように、
彼の腕に更に力が入った
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
