規律 ページ29
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カイと暮らし始めて1ヶ月が経った。
本名も年齢も知らないけれど、
彼について知ったことはたくさんある。
まず、彼は気分の波が激しい
「お疲れ様」と少し笑って言ってきたり、
捜査の話を聞きがてらコーヒーを
淹れてくれることもあれば、
無表情で「ん」「分かった」
しか言わない日だってある。
そういう日はなるべく
そっとしておくに限る…ー
そして彼の好き嫌いも少し分かった。
魚が嫌いというわけではないんだろうけど、
肉を出したときと魚を出したときでは
表情が違うのがとても分かり易い。
「お肉残ってるよ」と言うと、
絶対台所に向かうのだ
よく食べるのに太らない、彼の薄っぺらい
体を見ると少し妬ましくもなったりする。
あと、カイは火曜の夜は帰ってこない。
翌朝起きても隣にいたことはないし、
きっとどこかに泊まっているのだと思う
どうせ聞いても口を開かないことは
分かりきっているから、私も聞かない。
案の定水曜日である今日の朝も
彼は帰ってきていなかった
(あ、明かりついてない)
マンションの下から自分の部屋の
電気がついていないのが見える。
いないか、寝てるかのどっちかだろう
「ただいま…」
ドアを開けて一応小声で
言ってみるけど返事はない。
照明のスイッチに手を伸ばしかけると、
暗闇の中で物音が聞こえた
「カイ…？」
それでも返事はなくて、
ジャッジャッという音が聞こえるだけ
パチッ
スイッチを押すと飛び込んできたのは
実に異様な光景だった。
床に散らばるたくさんの紙、
椅子に座った人物…カイは
机上の紙に吸い込まれるくらいに
顔を近づけてペンを動かしている。
「……」
近くに落ちていた紙を拾って言葉を失った
遠くから見ると紙を染めていた黒は、
よく見ると“×”が密集したものだったから。
…ー『これが一番落ち着くんだ』
チキンを食べに外に出た日、
狂気じみた顔でそう言った彼を思い出した
「カイ」
近づいて呼びかけても反応はなくて、
彼は依然としてバツを書き殴っている。
その手はこの前のように
ペンをげんこつ握りで持っていて、
(え、血…？)
紙に微かに付着している血は
きっとペンを強く握りすぎた所為だ…ー
「カイ…」
バツ、バツ、バツ…
「カイ」
バツ、バツ、バツ、バツ
「カイ！！」
ペンを握る手を掴むとようやく
彼は私の顔を見た…というより
やっと私がいることに気づいた。
その表情は、想像通りのものだった
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
