建前 ページ28
.
.
「ニートって絶対嘘よね」
テーブルに置かれたお札を
ヒラヒラさせながらヨナが言った
「たしかに怪しいかも…
あんまり関わらない方がいいかもよ？」
これは本心だ
「けどその危ない感じもいいんだよねえ…」
恍惚として笑うヨナに
私は心の中でもう一度警告した
あの男は下っ端とはいえヤクザなのだ。
(あ…)
携帯を取り出すと通知が来ている。
“分かった”
というカイからの返事は
私が送った直後に来ていた
よかった…ー
「カイ来ないね」
「違うとこなのかも」
ごめんね、今日彼はここには来ない。
案の定他のクラブにカイが来たという情報が
回ってきて、私は程なくして家路についた
.
「お疲れ様」
私より後に帰ってきたカイは
とても疲れた顔をしていた。
「あいつのせいで無駄足踏んだ、
もう着く直前だったのに」
「なおさら危なかったね」
「ん、だから助かった」
ブルゾンのボタンを開けながら言う。
「あの人チャニョルっていうの？」
「本名か分からないけどな…」
そこまで言って彼は鋭い目でこっちを見た
「お前あいつと接触したのか？」
「あ、うん少しだけ」
「何やってんだよ」
露骨に眉間に皺を寄せている
「不可抗力よ…女の子と喋ってたら
その子の知り合いだったらしくて来たの。
それにちゃんと偽名使ったから」
説明するとカイは納得したのか
床に視線を落としてため息をつく
「ごめんなさい…」
「いや、いい。今回俺は救われたし、
逆にお前との繋がりも今後使えるかもだし」
彼はもう次を考えているらしい。
そして私はそれに報いたいと思ってしまう。
「調べろって言うなら
潜入でもなんでも私が、」
「それはいい。危険すぎる」
「ヤクザでしょ？なら捜査でも
たまに関わることあるし」
「駄目、あいつはわけが違う」
「どういうこと？」
「パクチャニョルは組長の実子なんだよ」
なるほど、それなら
高そうなスーツや時計にも合点がいく。
「だから変に関わるなよ？」
「うん、分かった」
私が返事するのをしっかり聞くと
カイは洗面所に消えていって、
程なくしてシャワーの音が聞こえた。
(実子、か)
これはますます危ない。
捜査本部がそれに気づいたら、
きっと捜査は手っ取り早くなる。
そしたらカイも…ー
パクチャニョルは、
完全に要注意人物だ。
.
.
※前の章ほんの少しだけ変えました(15.6.30)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
