栄光 ページ22
.
.
それからもカイが話すのをただ
言われたとおり愛想笑いして見ていると、
マイクのキーンという音が耳についた
『えー、では皆様。
楽しまれているところだと思われますが、
ここでスピーチの時間に入ります』
前方の壇上が大掛かりにセッティング
されていたのはスピーチのためか。
『まず、社長と古くからの友人である
イ テジョン氏です、よろしくお願いします』
司会の人がそう言うと、
隣のカイがそっと低い声で告げた
「あいつだ」
壇上に上がってくる人物を見て驚いた。
「え、あれって政治家の…」
すぐには名前と顔が一致しなかったけど
たしかにテレビで見たことがある顔だ
「選挙を控えてるけど劣勢だから
株を上げときたい、ってとこか」
「どういうこと？」
「最近警察と仲がいいらしい。
だから俺を売る可能性がある」
なるほど。
情報提供者がいるなんて聞いたことないから
絡んでるとしたら他の課の人間だろう
(…と思いたい)
「スピーチが終わったら
なるべく近くのテーブルに行く」
「了解…」
これはなかなか危険なミッションだ。
警察が絡んでるとは思わなかった…ー
『それでは以上をもちまして
祝辞とさせていただきます』
観衆が飽きている頃に
ようやくスピーチは終わった
「行くぞ」
テーブルの3人に会釈すると
カイは早足で歩き始める
自分の足が長いことを自覚して欲しい、
じゃなきゃ歩幅がとても追いつかない。
イ テジョンは既に何人かに囲まれていて
私たちも少し後ろで待つことにした
「私どうすればいいの」
「さっきまでと一緒だ」
コソコソやり取りしていると
周囲の人もいなくなってきて、
テジョンがこちらに気づいた。
「君は見たことない顔だな」
「初めてお目にかかります、
パクソンジュンと申します。
先程のスピーチ素晴らしかったです」
突然のことにもうろたえず
カイは営業スマイルで挨拶する
「おお、もしやジュンギの息子か？」
「はい。父がお世話になっております」
「そうかそうか！
まさかこんなに男前な息子がいるとは」
テジョンは嬉しそうにカイの肩を叩く
「父もテジョンさんに会いたがってます」
「今度遊びに行かせてもらうよ」
「是非いらしてください。
ところで今回の選挙、テジョンさんが
掲げられている公約の……」
カイは難しい政治の話を始めたけど
私はもうさほど驚かなかった
この運び屋は徹底する男なのだ。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
