異端 ページ20
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試着室のカーテンを開けるのが
こんなに恥ずかしいことだったなんて。
「…どう、でしょう」
カーテンを開けるとそこには目が8つ。
カイと、それから店員さん3人。
「ん、それがいい」
全身を舐め回すように見ると
カイはようやく頷いた
「よかった…」
思わず安堵の声が漏れる。
だってもうこれ以上着替えるのは御免だから。
「じゃあこれください。靴も。
このまま着たいからタグ取って」
店員に指示してさっさと
レジに歩いて行くカイは、
漆黒のスーツに身を包んでいる。
なぜ私がこんな手の届かない
お高いお店にいるのかというと…ー
昨晩、
『付き合って欲しいとこって？』
突然の要求に嫌な予感はしていたのだ。
『パーティー。
ちょっと気になる奴がいる』
『それは取引関連？』
『予定としてはそうだな。
けど信用に値するか、まだ情報が足りない』
『じゃあ…そこで情報を集めるってこと？
なおさら危険よ、情報屋でも雇っ…』
『俺は自分で見たり聞いたりした
情報しか信じない主義なんでね。
だから情報屋も雇わない』
じゃあ私はどうなるの…
そう思っていた矢先に、
『あ、お前は別な』
にやりと笑ってそんなことを言うから
ますます私は断りきれなくなった
カイという悪魔は、ずるい。
「行くぞ、次は美容室な」
いつのまにか会計を済ませた
カイが目の前に立っていた。
「あ、うん」
外に停めてある高級車に乗り込む
これはもちろん私の車ではなく、
彼が借りてきたものらしい。
どうやら今日のパーティーは
そういう層の人たちが来るようで、
私の車では不釣り合いなのだろう。
それに万が一ナンバーを
控えられでもしたら命取りだから、と。
本当に準備がいい。
……あ、そういえば
「ねえ、そもそも会場に入れるわけ？
こういうのって招待状とか、」
「完璧だ」
そう言った彼は片手運転しながら、
スーツの胸ポケットから何かを出した。
私に手渡された紙には、
“△△社 創立60周年記念パーティー開催…”
どうやら招待状のようだ。
宛名は“パク ソンジュン夫妻”。
「なるほどね…」
やっぱり彼は用意周到だ。
「今日の俺は、若い実業家のソンジュンだ。
絶対に呼び間違えないこと。
あとお前はアヨンっていう設定だから」
「分かった…」
「そう恐れるなよ。
警察でいう潜入捜査みたいなもんだろ？」
「それはそうだけど、
犯罪者側につくのは初めて」
皮肉を込めてそう言うと
彼は愉しそうに笑った。
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
