憎悪 ページ17
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それから少しするとチキンが運ばれてきた
「いただきます」
きちんと手を合わせる彼を見て
驚いた反面やっぱりと思う自分もいた
洗い物の件にしてもそうだけど、
きっと彼はちゃんと躾けられている。
目の前でチキンにかぶりつく彼は野性的で、
けど咀嚼しているときは子どもみたい。
そういえば、時間が合わなかったから
一緒に食事をするのも初めてだ…
「なに見てんだよ」
「美味しそうに食べるなあって」
「実際美味いじゃん」
そう言ってまたチキンにかぶりつく
「あ、明日はまた踊る？」
もう明日は金曜日だ。
「ああ」
「ダンスはいつからやってるの？」
「んー…小学生の頃から。
独学で見よう見まねでやってた」
それであの習得具合はすごいと思う
「へえ」
疑問は次から次へと浮かんできて
どれから聞いていいのか分からない
「こんなコソコソ生活してるのに
なんで人前で踊ってるの？」
「…お前質問多すぎ」
「だって、」
「それは捜査の一環？
それとも個人的な興味？」
また、不適な笑み。
「…どっちも」
そう答えると彼はプッと吹き出して
「お前欲張りだな」
と言ったのだった。
そのとき隣のテーブルに家族連れがやってきた
「パパ、僕これがいい！」
「どれだ？」
「私ソフトクリームも食べたい！」
「駄目よ、お昼も食べたじゃない」
和気あいあいとメニューを見ていて、
ふと 実家にもそろそろ顔を出さないと
なんて思ったりもした。
楽しそうだね
そう言おうとしてカイを見ると、
彼の表情はぞっとするほど冷たかった
さっきまで弧を描いていた唇は結ばれて、
目はただのビー玉と化したかのように死んでいる
彼はそこから一言も喋らなかった。
.
家に帰りついてシャワーを浴びているとき、
さっきの彼の表情を思い出していた。
あれは明らかにあの家族に向けられたものだ
子どもが嫌い？
嫌いな人に似てた？
しかし彼には謎が多すぎて
考えても無駄だということは分かる。
浴室を出て髪を乾かすと
喉が渇いたので台所へ向かう
するとカイがリビングの机で
ペンを握っているのが見えた。
しかもペンは正しい持ち方でなくげんこつ握り
「何してるの？」
近づいてみるとチラシの裏紙に
おびただしい数の“×”があった。
「これが一番落ち着くんだ」
そう言った顔は狂気じみていて
思わず後ずさりしそうになる
「そう、なんだ…」
彼は再び紙に向き直ると
ひたすらバツを刻み続けた
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
