憶測 ページ14
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「ただいま」
聞こえるように言ったのは、
自分の部屋の明かりが灯っているのが
下からぼんやり見えたからだ。
リビングに行くと、
自分の家であるかのように
ソファに寝転びテレビを見ている
被疑者である運び屋の姿があった
「お疲れ、刑事さん」
「どっか行ってると思ってた」
「さすがに今日は下手に歩き回れない。
で、捜査はどうだった？」
意地の悪い笑みを浮かべる
「ちゃーんと、骨折り損で終わりました。
元の情報が間違いだったんじゃないかって
ことになって、ある意味落ち着いてる」
「そりゃご苦労」
もう遅いので軽く少しだけ
何か食べようと台所へ行くと、
乾燥機に今朝見た皿があった
「…意外」
「何が」
ソファから顔だけこちらに向ける
「いや、洗い物とかするんだなーって」
「証拠になるものを残したくないから。
鑑定にでも出されたら困る」
荷物の件ともいい、慎重な人だ。
「…っていうのもあるけど、
昔からやらされてきたから染み付いてる」
「へえ、お母さん熱心なんだね」
返事はなかったけど、
それ以上聞いちゃいけない気がした
「カイも何か食べる？」
「要らない、さっき食ってきた」
彼はそう答えると起き上がって
床に置いていたボストンバッグをあさる
そして、
「はいこれ」
キッチンのカウンターに
半ば投げられるように封筒が置かれた。
「ん？」
手を拭いて封筒を手にとり開けると
私は一瞬言葉を失ってしまった
「ちょっと、何なのこれ」
「見て分かんない？お金」
「それは分かるけど…」
封筒の中には札束。
今まで握ったことがない厚さだ。
「生活費」
「こんな遣わないって！」
「まあ報酬と思っといてよ、
俺を匿って情報垂れ流す分の。」
たしかに、職業倫理に反して
神経をすり減らしながら生活する
分には値するのかもしれない…
「あとは、万が一のときのための逃亡資金」
そう言って悪戯っぽく笑うけど
それが洒落にならないから怖い
「…じゃあ、一応預かっとく。
けどどこからこんなお金が？」
「安心しろ、ちゃんと稼いだ金だ」
ちゃんと、って言えない職業だけど。
それにしても一体どんなきっかけが？
「どうしてこんな、」
「質問おしまい」
遮るように言った彼の口元は笑っているのに
その目はあまりにも冷酷だった。
どうやら悪魔は、
過去のことを話したくないらしい。
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
