誘惑 ページ2
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そのカイという人はその後も
何かを忘れるように一心に踊り続けた。
その間も観衆は見ることをやめなかったし
私もそのうちのひとりだった
正確に言うと、目が離せなかった
彼はある曲が終わったとき
やっと踊るのをやめた。
息切れして肩は激しく上下していて、
キャップの影になっている口は
もうあの笑みを浮かべてはいない
まるで憑いていたものが
出て行ったかのようだと思った。
「あー行っちゃう〜」
女の子たちは残念そうな悲鳴を上げつつも
立ち去る彼を追いかけようとはしなかった
「皆追いかけないんだね」
「前についてった人いたんだけど
それ以来、その子全然クラブに顔
出さなくなっちゃったらしくて」
「え、」
「まあ噂だけどね。干渉しない方がいいって
皆あんまり近づかないようにしてる」
「そうなんだ…」
「本当に何も知らないんだね。
てかお姉さんどうしてここ来たの？
あんまり踊ってるイメージないけど」
それはごもっともな意見だと思う
「あー…ちょっと探してる人がいて」
「手伝おっか？」
「…ううん、大丈夫。
今日は色々とありがとう」
不思議そうな顔をしてる女の子に頭を下げると
再び踊り始める人たちを避けながら外に出た
(ここも違ったか…)
目的は達成できなかったのに、
それでも心は満たされていた
だって、悪魔を見ることができたから。
悪魔って擬人化したらきっと
あんな人を指すに違いない。
口元に浮かべたあの笑みは
心を見透かしているようにも見えたし、
世界征服を企んでいるようにも見えた。
「カイ……」
思わず名前を口に出した瞬間、
声は街の喧騒にかき消されたはずなのに、
彼がどこかで聞いていて
なんだか罰が下されそうな気がした。
その晩、夢に悪魔が出てきた。
悪魔はクラブで見たときのように
キャップを深くかぶって踊り続けた
やはり口元には時折あの笑みが浮かぶ。
そして悪魔は踊り終えると涙を流しはじめた
隠れて見えない目から、ポタ、ポタ
(ああ、そうだった…)
罰を下すのは悪魔でなく神だった。
悪魔も、神に異端とされた一人…
きっと悪魔は悲しいのだ。
私は夢の中でなぜか
そんなことを思ったのだった
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かのか(プロフ) - す、スンゴイ面白い！ (2015年7月29日 16時) (
レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが気になります！ (2015年7月24日 21時) (レス) id: 3f43380847 (このIDを非表示/違反報告)
るんるん - 読んでるこっちが震えるほど面白いです（笑）更新待ってます！ (2015年7月21日 0時) (レス) id: 724eac6f67 (このIDを非表示/違反報告)
Tm(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます〜！最高です(ToT)/~~~ (2015年7月18日 16時) (レス) id: 3097d1d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
りゅっちょん(プロフ) - すっ、凄すぎる★めちゃｺﾜｲ★でもハマります!!すごく好きです! (2015年7月18日 15時) (携帯から) (レス) id: 75eedf787c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺっぱー
| 作成日時：2015年6月7日 1時
