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「……え?」


聞き間違いかな、とか


私は悪夢を見ているのかな、とか……


そもそも、


岸くんが廉のことを知っているはずないんだから


これはきっと夢に違いない、とか……


一瞬のうちに色んな事が頭の中を駆け巡った。


けれど、私が何も言わずにいるうちに


俯いて静かに涙を落とし始めた岸くんを見て


これは確かに現実なのだと


受け入れるしかなくなった。


「……俺の両親は医者なんだ」


岸くんは腹を決めたようにゆっくりと話し始めた。


「……うん」


「父さんは喜多川大病院、


母さんは帝都大病院に勤めてて……


俺も医者になるように勧められて育って……でも


俺は、反抗期っていうか……それが嫌だった」


「……うん」


「……でも、去年の夏休みに


病院で廉のこと知って……


たまたま俺が母さんの病院に行ったときに


定期検診で来てたのが廉だったの。


つまり、俺の母さんが廉の主治医だった」


「……うん」


高1の文化祭で廉を見たときに


会ったことがある気がすると言っていたのも


彼の入院中にたまたま見かけたのだろうな、


と考えると納得した。


「俺が母さんと話すことがあって……


待ってるとき、たまたま廉との話聞いちゃった。


病気が再発して、すぐ入院しなきゃやばいって


母さんが言ったら、廉はそれはしたくないって


言ってて……受験終わるまでは、って」


「……そうだったんだ」


何も知らなかったけど、


言われてみればそうだったのだろう、と思う。


だけどこれはいわゆる「事後報告」で


今更何を後悔しても遅いのだと思うと


悲しいという以上に不甲斐なかった。


「……うん。でも、浪人も出来るし


別に治ってからでも大学には行けるでしょ、って


うちの母親が言ったらあいつ、


好きな人がいるからその人と受験したいんだって


言ってきかなくて、


結局そのまま入院しないことにして……」

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しぃたん(プロフ) - こんばんは。読ませて頂きました。まさかの最後結末だったので心臓鷲掴みからの号泣でした。。凄く儚く綺麗な素晴らしい作品でした。有難うございました。 (2021年3月30日 0時) (レス) id: 46bf8c1460 (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - ほのぼのさんさん» はじめまして。ほのぼのさん、コメントありがとうございます!完結から1年以上たっている作品なので見つけて頂いて嬉しいです!単語帳に萌えを感じて作ったので感動して頂けて本望です! (2020年9月2日 15時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
ほのぼのさん(プロフ) - はじめまして。すごく奥深くて素敵な作品です。涙が止まりません。1つ1つの単語に積み重ねた時間や様々な想いが込められていてすごく胸がギュッとなりました。素晴らしい作品に出会えて本当に幸せです! (2020年9月1日 22時) (レス) id: b40a6701ed (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - しおりさん» 大好きだなんて、めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます。これからもしおりさんに泣いていただけるように頑張ります!笑 (2020年3月11日 9時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 主様!!!どんだけ私を泣かせたら気が済むんですか!(とんだ勘違い)主様のストーリーを読むと必ず涙を流してしまいます。主様の描かれるストーリーが大好きです。 (2020年3月10日 23時) (レス) id: b54a6cc2bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜木 | 作成日時:2019年3月2日 15時

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