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「A先生、来たで」


商品が切れたせいもあってガラガラになった


純喫茶のテーブルに座って英単語帳を


3周半ほど回した所で廉くんに声を掛けられた。


「ごめん、もうコーヒー売り切れちゃった」


「遅れてごめんな。


でも俺らコーヒー毎日飲んどるし、別にええか」


そう言って笑った廉くんと特にあてもなく


廊下を歩いた。


「めっちゃ混んでんのな」


うちの高校の文化祭は割と有名らしくて


一般公開しているから生徒の家族以外にも


近所の人や他校生も多く訪れていて


なかなか入れそうな店はなかった。


たまにクラスの友だちにすれ違って挨拶をして。


廉くんのことを見てニヤニヤされたりして


ちょっと申し訳なくなったりもした。


「ごめんね、全然プランとかなくて」


「ええよ。……俺、文化祭見るのも初めてやし


それだけで新鮮やから」


遠い目をしながらそう話す廉くんは


少し寂しそうだった。


「それに俺、見てみたかってん。


学校におるA先生のこと。どんななんかなって」


そう言われて嬉しかった。


廉くんが私に少しでも興味を持ってくれたことが。


「……いつもどおりだったでしょ?」


そう言って自分で悲しくなる。


私は学校でも廉くんの前でも「先生」でしかなくて


ギャップとか面白みとか微塵もない人間なのだ。


「おん。みんなからも先生って呼ばれてんのな。


すごいなぁ……って思った。信頼されとって」


そう話す廉くんの瞳は澄んでいた。


「先生」も悪くないかもしれないと思えた。


「なんか……ありがとね」


「おん。自販機で何か買って飲むか」


廊下の突き当たりに設置された自販機を見て


廉くんがそう言った。


飲み物は色々あったのに、私たちは結局


缶コーヒーを飲んでいて2人して笑った。

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夜木(プロフ) - れんまるさん» ありがとうございます。愛・感謝です笑 (2019年3月2日 12時) (レス) id: bbfe081cd6 (このIDを非表示/違反報告)
れんまる(プロフ) - 更新お疲れ様です!夜木さんの作品好きで全部読ませていただきました(^^)今後の展開が楽しみです。これからも読ませていただきます! (2019年3月2日 12時) (レス) id: 2dddd4dbd5 (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - あんぱんまんさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2019年3月1日 21時) (レス) id: bbfe081cd6 (このIDを非表示/違反報告)
あんぱんまん - 早く続きが読みたいです! (2019年3月1日 21時) (レス) id: c8796e2e4b (このIDを非表示/違反報告)
rainbow(プロフ) - 頑張ってください!! (2019年2月28日 0時) (レス) id: 0b385c0c45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜木 | 作成日時:2019年2月27日 17時

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