81頁 -R.Nagase-

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「明日よな、文化祭。A先生は何組なん？」


文化祭前日の金曜日、そう聞かれて


ああ、本当に来てくれるんだな、と思うと


嬉しくなった。


「A組。正門から入って校舎の1階のすぐのところ」


「A先生はずっと仕事あるん？


良かったら案内してほしいねんけど……」


そう言われてハッとした。


廉くんが来る、ということと一緒に回る、


というのがなぜか全然結びついていなかったから。


私はそもそも、


男子と2人で出掛けたりしたことがなかったのだ。


「14時からシフト空くから、


教室まで来てくれれば案内する」


平静を装ってるけど、


2人きりで勉強以外のことをするのは初めてで


うまく楽しめるだろうかと不安だった。


「あのさ、……携帯の連絡先とか聞いてもええ？


迷わんとは思うけど念のために」


そう言って私たちはLINEを交換した。


アカウント名は「廉」。


プロフィール画像は


どうやらサッカー選手の写真だった。


サッカー、好きなのかな……と思ったけれど


私の前で彼が趣味の話をしたことはなかった。


彼女にだったらそういう話をするのかな、


と考えてみて、そう言えば廉くんにも


すでに彼女がいるのかもしれない、という


事実に今さらながら気づいた。

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