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高等学校卒業程度認定試験、略して高認。


その言葉は私でも、何となく聞いたことはあった。


何らかの事情で高校を卒業していない人に


高校卒業と同等以上の学力を認めるとともに、


大学の受験資格など、高卒の人と同等の扱いを


可能にするための試験だ。


廉くんの場合は高1のときに退学したという話


だから、それ以降の範囲を独学で習得して


毎年8月と11月に行われる試験を受けることになる。


彼が高校を辞めてしまった理由は


分からなかったけれど、


複雑な事情だろうから私から聞くことはなかった。


「雨、降ってきちゃったね……」


9月半ば、帰りの時間になって


雨が降っているのに気づいた。


天気予報では晴れだったから折りたたみもない。


「……ちょっと、待ってて」


廉くんはstaff onlyと書かれた部屋に入ると、


ビニール傘を2本持って来た。


「え……これって?」


「ん?……あぁ、言っとらんかったっけ?


俺、シゲさんの従兄弟やから……あの、えくぼの」


「シゲさん」と「重岡さん」が


「えくぼ」という言葉によってイコールで


結ばれる。


「……そうなんだ。だから、ここで勉強?」


「おん、売り上げに貢献せい、言われて」


廉くんはそう言うとがはは、と笑った。


その笑顔は幸せそうで


改めて彼のことを好きだな、と思った。


けれど、それと同時に


私は彼のことを全然知らなかった。


真っ白な地図に、ぽつんぽつんと


点が描かれていくように、少しずつ少しずつ


彼のことが明らかになっていって。


それでも点から点への道筋は見えなかった。


そして、私もそこまでは踏み込めなかった。

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夜木(プロフ) - れんまるさん» ありがとうございます。愛・感謝です笑 (2019年3月2日 12時) (レス) id: bbfe081cd6 (このIDを非表示/違反報告)
れんまる(プロフ) - 更新お疲れ様です!夜木さんの作品好きで全部読ませていただきました(^^)今後の展開が楽しみです。これからも読ませていただきます! (2019年3月2日 12時) (レス) id: 2dddd4dbd5 (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - あんぱんまんさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2019年3月1日 21時) (レス) id: bbfe081cd6 (このIDを非表示/違反報告)
あんぱんまん - 早く続きが読みたいです! (2019年3月1日 21時) (レス) id: c8796e2e4b (このIDを非表示/違反報告)
rainbow(プロフ) - 頑張ってください!! (2019年2月28日 0時) (レス) id: 0b385c0c45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜木 | 作成日時:2019年2月27日 17時

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