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「ただいまー」


学校が終わって家に帰ると、


お兄ちゃんの彼女の美亜さんの靴があった。


お兄ちゃんは私の3つ上だから、今は大学1年生。


私大の文系学部に通っていて、彼女も同級生。


「Aちゃん? 久しぶりだね」


美亜さんとお兄ちゃんは高校時代から


付き合っていたから、何度か会ったことがある。


「お久しぶりです」


彼女は美人だし、優しい人なんだと思う。


けれど、私はなかなか馴染めない。


たぶん、私とは違うタイプだから。


お兄ちゃんと付き合い始めたのも、


美亜さんの告白がきっかけらしくて


私にはそんなふうに行動的な人が


理解できないんだと思う。


だって、映画や小説なんかでは


恋愛ってたいてい男性から告白するでしょ?


それか、運命的な出会いをして


そのまま付き合うとか。


前にそんなことを言ったら幼なじみの千帆には


「Aって頭良いのにアホだよね?」って


言われたっけ……


「運命の恋とか、ある訳ないじゃん」って。


「Aも出来たら食う? ミートソース」


キッチンで美亜さんと並んで料理をしていた


お兄ちゃんにそう言われるけど、


なるべく波風を立てないように断って部屋に戻る。


もうすぐ両親が仕事から帰って来る時間で、


きっとリビングでは4人での食事になるだろう。


美亜さんは我が家のお父さんにもお母さんにも


評判が良いから、大学を卒業したら結婚


なんて話ももう出ている。


私なんて、まだ彼氏すら出来たことないのに。


部屋の鍵を閉めて、カーテンを閉めて。


ベッドに制服のままダイブした。


みんなでの食事を断ったのは、


美亜さんとお兄ちゃんを見ているのが辛いから。


ブラコンとかじゃないけど。


普通に上手くいってるカップルを見ると、


私はなんで恋ができないんだろうって辛くなる。


片想い、すらしたことがない。


そもそも、私のことを女子として見てくれる


男子なんていない気がする。


クラスの男子は「平野先生」とか呼んで


「勉強教えて!」とか「宿題見せて」とかしか


言ってこないし。


派手な女子たちからは内心つまらない人ってさえ


思われてそうで怖い。


起き上がって勉強机に座り、スクールバッグから


数学の参考書を取り出す。


当たり前だけど


恋のやり方なんてどこにも載っていなくて、


私は夏休みの課題の2次方程式を解き始めた。

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夜木(プロフ) - れんまるさん» ありがとうございます。愛・感謝です笑 (2019年3月2日 12時) (レス) id: bbfe081cd6 (このIDを非表示/違反報告)
れんまる(プロフ) - 更新お疲れ様です!夜木さんの作品好きで全部読ませていただきました(^^)今後の展開が楽しみです。これからも読ませていただきます! (2019年3月2日 12時) (レス) id: 2dddd4dbd5 (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - あんぱんまんさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2019年3月1日 21時) (レス) id: bbfe081cd6 (このIDを非表示/違反報告)
あんぱんまん - 早く続きが読みたいです! (2019年3月1日 21時) (レス) id: c8796e2e4b (このIDを非表示/違反報告)
rainbow(プロフ) - 頑張ってください!! (2019年2月28日 0時) (レス) id: 0b385c0c45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜木 | 作成日時:2019年2月27日 17時

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