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《はーい！》
元気よく聞こえてくるのは、カイトの声で。
ドアが開くと、ゴムで前髪を結いたTシャツ姿に
スウェット姿の紫耀が出てきた。
初めて見るその恰好に、何故か胸がキュンとして。
「……遅なって、ごめんな。
受け取ったら、すぐ帰るから」
それだけなのに、すごく緊張しとって。
「大丈夫。とにかく上がって！」
そう言われて玄関口に入ると、
《じゃあ、あとはごゆっくり〜！》
と身軽な動作でカイトがドアをすり抜けていく。
ごゆっくりって何やねん笑
「家族の方とか、おらんの？」
畳にちゃぶ台、座布団、という茶の間に入っても
人気がないからそう訊くと、
「うん、ばあちゃんが2人きりのが良いでしょって
出掛けてくれたから！」
と、噛み合ってるのか微妙な答え。
そんな気遣ってもらうような用事でもないけど。
まあ、コイツアホやし仕方ないか。笑
そう思いながら、促されて座布団に正座すると
奥の部屋から進路希望調査らしき紙を持って
神妙な面持ちでこちらを見詰めてくる紫耀。
そのまま、近寄ってきて。
何やねん。笑
そして、「ふぅー！」と気合入れみたいに
謎の深呼吸をして正座する。
スウェット越しにも分かる筋肉質な太腿が
羨ましいなぁ、なんて思ったのは秘密。
「何やねん、さっきから。笑 早よ渡せや」
何故か紙を握り締めたまま、じっと静止しとる
紫耀にそう言うと、ヤツは
「はい！」と無駄に威勢のいい返事をして
賞状でも渡すんかって姿勢で差し出してきた。
「おう……………………えっ、」
【第一志望】れんのコイ人
「お願いしますっ！！！！！」
へったくそで、謎にカタカナまで混じっとるけど
コイツの意思は明確やった。
そして、それは俺も。
「……よろしゅうな、紫耀」
離れていた2つの円は、今初めて触れて、重なって。
そこに「好き」って要素が入って。
2つの集合はこれからもっと、きっと、
沢山の思い出や感情を共有しながら、近づいていく。
そんな未来があっても、ええんやないかな。
学校には絶対提出できんくなった進路希望調査は、
大切なラブレターとして俺が受け取ったるわ。笑
その日、日付をまたぐ頃に帰路についた俺が
家に着いてこっぴどく叱られたのは、また別の話。
(完)
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月海(プロフ) - 死ぬ程面白かったです！！笑いました。出来れば続きが読みたいです。三人の微笑ましい姿がほっこりで もっと進展した二人が見たいです。 (2022年3月22日 18時) (
レス) @page20 id: 203aee8e7e (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - しおりさん» あざっす！笑 自己満なので需要があると嬉しいっす！笑 (2020年5月22日 15時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夜木さん» そらでしおり挟んで作者のページ見て、あ！夜木さん！ってなります。笑 (2020年5月22日 0時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - しおりさん» おすすめ欄に出しゃばってしまってすいません！笑 うれしいです！笑 (2020年5月22日 0時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夜木さん» いつもおすすめ欄とかに出て来て気になったやつ読んでるんですけど、どハマりするやつってだいたい夜木さんのお話なんです！笑 (2020年5月22日 0時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜木 | 作成日時：2018年12月2日 18時
