箱入り娘と怪盗の恋物語 【怪盗ジョーカー】

予告状を出す前の話… ジョーカーside ページ9

俺の脳内にAのさっきの言葉が自動再生される。

A:「なんでわざわざあたしを助けてくれたの?」

もちろんAに近付いたら宝を狙いやすいから、という理由もあるが。

実は、別の理由がある。

それは予告状を出す前に執事に変装して、A達を調査していた時のこと。

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とあるメイド「お嬢様、どうしてそんなにその指輪を大切にしているのですか?」

貴「それは、随分前に亡くなった大好きなお爺様からもらった、大事な大事なお守りだから…」

この大事な人が亡くなった、という言葉に俺はすぐに敏感に反応した。

Aはまだ話を続けた。

貴「辛いことがあったり挫けそうになった時、あたしはいつもこの指輪を見るの。するとね、なんかお爺様の励みの言葉が聞こえたり、お爺様に守られたりしているような気がして。そして不思議とあたしは元気になるの…。つまり、この指輪は天国にいるお爺様とあたしを繋ぐ道しるべだと思っている…」

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大切な人を失う悲しさや苦しみは俺も痛いくらいわかっている。


だから俺はせめてAが明るい未来を、あの日怪盗の道を選んだ俺みたいに自分で切り開いて精一杯生きて欲しいって思い、盗賊からあいつの命を助けた。

それでも、俺はあいつの大切にしていたお守りを分かっていて盗んでしまった…。

話を聞いて一瞬指輪を盗む事をためらいもしたが…。

怪盗という以上俺は引き下がる訳にもいかなかった…


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実をいうと俺は指輪を奪ったことに罪悪感を抱いている…


やはりこの指輪後で本人にこっそり返そう…

タイクツな未来と切り開いた未来→←とりあえず一見落着(?)

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