joKer 2

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「切られてるのは、鍵による家の侵入を知らせる配線、扉が破壊されたら知らせる配線、俺ら以外の音声が聞き取れたら知らせる配線の3本」
「…宮田、細かいな割と」
「不法侵入って鍵を開けて入ってくるやつと壊して入ってくるやつ居るからね」


宮田がかっこいい。


「それを狙って切られてる」
「てかなんかおかしくない？」
「そうなんだよ、ニカ。もし各々の配線をしっかり分かっていても、犯人が入ってから切るんじゃ遅いんだよ。入った瞬間に報告来るからね」
『…本当じゃん』
「いやでもそれじゃあ…」
「…疑いたくないけど、」


今日1日酷使した体と頭はもう回っていない。
それでもまだ、現実は追い討ちをかける。




「…内通者、居るよね」


シーンとする。


疑いたくない、でも辻褄が合わない。
もう頭はパンク寸前。何も考えたくない。



「いやいやまさか」
「そうだよ、俺らに限ってそんなこと」

二階堂と千賀は有り得ないね、と否定した。信じたくない、誰もそんなこと。


「…俺だってこんなこと言いたくない。でもそうじゃなきゃ辻褄が…」
『……』
「……」

宮田は今にも泣きそうだった。



彼らは出会って何年になる？そんな長い仲間に裏切り者がいるって信じる？



「…Aじゃ、ないよね？」
「千ちゃん！」
「千賀！」

宮田と二階堂は怒鳴った。


でも矛先が私に向くのは必然だと思った。来て1ヶ月程の女と、何年も一緒に暮らしてる家族のような友人。そんなの信頼度が桁違い。分かっていた。


『違うよ』
「…そうだよね……変なこと言って、ごめん」
『…大丈夫』


皆、疲弊してるから仕方ない。

…別に言い聞かせてるわけでもない。



「皆、今日は寝よう。ご飯もこれじゃあ何も作れないし、全員顔が疲れてるよ。太輔は俺と一緒に寝るから心配しないで。…冷静な頭でまた、明日考えよう」


おやすみ、横尾はそう言うと、藤ヶ谷を担いで部屋に戻って行った。二階堂と千賀と宮田も、無言で後に続いて部屋に消えた。







『……』
「……Aちゃん、」
『……』
「俺のこと疑ってる？」




玉森と2人になった。




『…疑ってないよ』
「そっか」
『……』
「でも」
『……』
「俺は…….間違ってない」


ぽつりと呟いた玉森。顔を上げれば玉森は綺麗ににっこりと笑って、おやすみ、と部屋に戻って行った。


…思い当たる節も何もかも、今日はもう考えられない。私も寝よう。








瓦礫を避けて、私は部屋の電気を消した。



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