54 ページ5
.
「…え?そもそも動いてなかったの?」
「そうなんだよ。でも動けば切る導線が分かるって」
「大丈夫。2分あれば導線は確実に分かるよ」
二階堂は落ち着いて言う。でも藤ヶ谷の耳にはそんな声は入らない。
「…はぁ……、ぁ…………っはぁ…」
『藤ヶ谷大丈夫だよ。二階堂が居るからね。落ち着いて。吸って、吐いて…』
「………はっ…ぁ………はぁ…、っ」
横尾はまだ来ない。このままだと爆弾どうこうより、藤ヶ谷が危ない気がする。それに皆も藤ヶ谷程ではなくても、トラウマなことには変わりない。皆の精神がすり減っていくのが分かる。
…二階堂急いで。
「えっと……あ、おっけ。分かった。緑だ」
「ニカ、切れ!」
「いくぞ…!」
あと3分。
「…っ、なんだこれ、切れねえ」
「切れないって何!」
千賀が叫ぶ。
「硬いんだよ…ッチ、何だこれマジで」
「ニカが力無いだけじゃないの?」
「なわけねーだろ、こんな硬いの見たことない」
千賀は俺が切る!と言って代わった。でも千賀も切れないらしい。
「まずいあと2分しか!」
「千賀!焦らすようなこと言うな!」
「だって!」
「じゃ、じゃあ、ナイフとかは!ギコギコやれば切れたりして!」
宮田はひらめいたように言う。
「横尾さーん!ナイフ!ナイフどこ!」
「ナイフ?千賀の横の変形した扉の中にあるはず。宮田、グラスに水用意して」
「分かった」
タイミングよく戻ってきた横尾は私にお礼を言うと、藤ヶ谷に大丈夫だからなって声をかける。
「ナイフ何に使うの?」
『線が切れなくて、ナイフでギコギコしよってなったらしい』
横尾はなるほど、と頷く。
「千賀、こじ開けろ」
「…んんん……っと!開いた!えーっと……これ、かな?」
「それでも良いけど、あまり刃が大きいと他切りそうだな…他にもあるでしょ?ペティナイフは?」
「ペティナイフ?」
「小さいやつ!昨日研いだばかりだし切れ味も良いはず」
「見つけた!」
「よし!切れ!」
「緑、だっけ?」
二階堂が緑の導線を切りやすいよう持っていて、それに刃を当てる千賀。
ギコギコギコギコ。
「ひぃ…あと1分」
「千賀は時間見るな!」
「…お、切れてきた」
「頑張れ千ちゃん!」
宮田が後ろから声をかける。
…そういえば玉森、どこ行った?
「あとちょっと…」
「頑張れ!」
「あと何秒!」
「気にするな、千賀!死にものぐるいで切れ!」
「くっそ、切れろ!!」
ブチッ。
.
88人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuzu_(プロフ) - 完結間近なんですね!楽しみにしてます! (2022年2月16日 8時) (レス) id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - yuzu_さん» yuzu様、毎度コメントありがとうございます!長い間お待たせしてしまいました。本当に申し訳なかったです( ; ; )完結間近ですが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです! (2022年2月16日 1時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
yuzu_(プロフ) - お忙しい中ありがとうございます。ずっと待ってました泣また楽しみによみます! (2022年2月15日 0時) (レス) @page42 id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - ほおうさぎさん» ほおうさぎ様、コメントありがとうございます!お返事遅くなりました。ごめんなさい。ジャニーズでこのようなお話ってあまり見かけないので勇気いりましたが、読んでくださる方が多く安心しています(笑)もう少しお休み頂きますが、これからも宜しくお願いします!♡ (2021年12月16日 17時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
ほおうさぎ - はじめまして!キスマイのこういうお話好きなので楽しみにしています!主様のペースで大丈夫ですからね。ゆっくりお休みください!! (2021年12月12日 23時) (レス) @page42 id: 86f6a5fb9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナナシ | 作成日時:2021年11月25日 16時